私は以前、文字を書く字に対してコンプレックスを持っていて、書いた文字を他人に見せる事が本当に嫌でした。
そんな自分を変えたく2017年からペン習字を習い、自分の字に満足している訳でもありませんが、文字の書き方や形などの基礎の理解は出来、現在は書いた字を他人に見せても恥ずかしくないレベルまで成長できました。
今回は、綺麗な文字を書きたいけどペン習字を習うまではいかない、なんとなく美しい文字を書くポイントがあったら教えて欲しい。そんな方を対象に、美しい文字を書くポイントをお話しします。
筆記具は、硬筆(ボールペンや万年筆での筆記)が対象で、今回の参考画像は万年筆を使用して筆記しています。
目次
美文字を書くためには基礎の考え方が本当に大切
字が上手になる為には基礎がとにかく重要で、この基礎さえ理解しておけば、必然的に文字は上達していきます。
逆に基礎を理解していなければどれだけ練習していても綺麗な文字が書けるようになりません。
お手本書を見て書き続ければ上手になるのではと私自身も考えてはいたのですが、基礎の理解がなければお手本に掲載されている形を書くための根本を見落としてしまうんですね。
これは自分が嫌になる程経験しました。
数年間、字を学んできた過程の中で、なるほど、こういう意図でこう書くのか、この形を書く時はこう考えるのか、これは知らなかったなど、考え方的な部分で腹落ちして、一気に上達に向かったポイントがいくつもありますので、ぜひ参考にして下さい。
筆記時の姿勢・ペンの持ち方編
まず、綺麗な文字を書くうえで最低限必要なこととして正しい位置にてペンを持つ事が挙げられます。これを習得しないと自然体の中で美文字を書くことはできませんので、真っ先に身に付けたい重要な要素です。
右胸前で書くことを週間づける
ペンを構える時は、右胸前で構えると書きやすいと聞いたことがある方は多いと思います。小学校などで右胸前で書きなさいって教えてもらったことのある方もいらっしゃいますよね。
しかし、なぜ右胸前で書く事が大切なのか理屈を知っている人は少ないです。
右胸前で筆記することがなぜ重要なのかというと、特に横画を書く際に重要になってくるのですが、横画は手首の動きだけで書くようにすると常に安定した横画が書けるようになります。
後ほど詳しく説明しますが、横画は少し右斜め上に筆記すると綺麗な文字に見えます。筆記する位置を右胸前で固定し、手首の動きだけで筆記することで、安定した少し右斜め上向きの横画が書けるのです。
左過ぎてもダメ、右過ぎてもダメ。
試しに左胸の前に手をおいて、手首の動きだけで横線を書くと分かりますが、横線というよりも縦に近いような線になってしまいます。
なお、体から近すぎても遠すぎても横線の角度が変わってくるので、手首を動かして丁度よく右斜め上に横線がかけるポジションを探し固定することが大切です。
大切なことなのでもう一度。
右胸前に手をおくことで、手首の動きだけで安定した少し右斜め上向きの筆記線が書けるようになります。
手首を動かしただけで綺麗な右斜め上向きの横線が書ける場所にて固定させます。
美文字重要度:★★★★★
これくらい大切なポイントです。
縦画はグリップする手の力の強弱で書く
横画は手首を左右で動かすことで筆記すると記載しましたが、次は縦画です。
縦画を書く時に手首を使ってしまうと安定しませんので、手首は使いません。
ペンを力を抜いて持っている状態で親指以外の4本の指を締めてあげるとペン先は必然と下に向かいますので、その力の強弱によって書きます。
開いている手を閉じてあげるパーからグーのイメージです。
手首を使わない書き方は、最初は難しくコツを体が理解するまで継続した練習が必要です。また縦画の場合は止める、流す、跳ねるなど様々な書き方がありますので、正しい基本的な感覚を身に付けましょう。
それなりの練習時間を要すると思いますが、毎日意識して書いていくことで少しずつ変化があると思います。
筆圧に変化をつける
文字を書く際、常に同じ力の入れ加減で筆記してしまうと、味のある美しい文字にはなりません。
一文字ごとに力を抜くポイント・力を込めるポイントがありまして、例えば払いなども最初は力を入れておく、そこから徐々に筆圧を下げていきスッと払うような書き方をしますね。
このどこに力を入れる・抜くというのは線全体の繋がりの中で変化しているように感じます。オーソドックスなポイントですと下の写真がイメージつきやすいかもしれません。
筆記線が細くなっている部分、太くなっている部分があるのが伝わるかと思いますが、太くなっている部分が筆圧入れて筆記している箇所になります。
おすすめ本の紹介
横線の引き方、縦線の引き方、筆圧の考え方は竹内みや子先生の著書、「字は1日でうまくなる!」を読んで学んだことですが、このような基本的な部分を学んで練習できるかできないかでその後の上達速度は全く異なってきます。
本屋で手に取ったときは、1日で?それは過剰表現でしょ?と感じましたが、基礎的な部分をたくさん学べたことはその後の習字でしっかりと活きる流れとなりました。少なくとも上達するための土台は1日で作れたんじゃないかと思います。
筆記ポジションは固定・紙をずらして書く
右胸前でペンを構える場所に繋がる話ですが、文章を書くとき一文字一文字異なる場所に筆記しますので、当然手の位置かノートの位置は少しずつずれていきます。その際、ノートの位置を固定させ、手の位置をずらしていくのか、手の位置を固定させてノートの位置をずらすのか?
こちら綺麗な文字を書く時は、筆記するポジションは固定させ、一文字ずつ紙をずらして書いた方がより綺麗に筆記できます。
ちなみに手帳に筆記する際や狭いところでの筆記はノートを動かすことが出来ません。ノートを動かせない場所では手を動かして筆記するしかありませんので、不安定になります。
これは仕方ない事ですので、状況によって使い分けましょう。
文字の形編
続いては実際の文字の形についてポイントとなることをお話ししていきます。
口という文字の書き方
口という一見シンプルな漢字。実は私、この漢字の書き方を習字を始めるまで理解していませんでした。
口の書き方くらい、小学生でも知ってるだろ!と言われてしまうかもしれませんし、正しい書き方を知っている方も多いと思いますが、私は全くわからず理解するのに時間がかかりました。
意識して周りの人の口の書き方を見てみるとNGな書き方をしている方も多いようです。
このタイミングにてきちんと理解しましょう。
では突然ですが、どの口が正しいと思いますか?
正解は、2番です。
書き順としては理解しているものの、先の画像の3番や4番のように線を出す場所を間違えて書いてしまう方はとても多いです。実は私も意識して書いた事がなく、間違った線の出し方をしていた記憶があります。
なお、写真の右側の行書の繋がりを見ると字の流れが出来るので、正しい書き方のイメージが付けやすいと思います。
日・目という文字の書き方
続いては「日」という文字の書き方です。
先ほどの口と比べると、同じ四角で囲われる似た文字で真ん中に横線があるだけのように感じられますが、書き方は別。
口では一画目の縦線が下に伸びていたのに対して、日は四画目の横線でしっかりと締められるとともに、四画目の横線も三画目の縦線を最終ポイントよりも上の位置にて止められています。
目という感じも日と同じ考えで筆記します。
口と同じく行書にしてみると分かりやすいのですが、行書の場合、「日」であれば三画目と四画目を繋ぎます。「目」であれば四画目と五画目を繋ぎます。
口・日というシンプルな文字ですが、このポイントを意識するだけでグッと字が締まりますので意識してみてください。
筆記している文字を見て、ここがきちんと書けていると、「この方は字の書き方を知っている人」と思ってもらえるかもしれません。
中の横線は左付けで右隙間で書く
続いて囲まれた文字の中の横線は、左付け、右隙間開けで筆記します。
ここ意識。
ダメな例↓
右端までくっつけてしまったり、左を開けてしまったり、また左開け、右くっつけにしてしまうとバランスの悪い文字に見えますよね。
横線は右斜め上向きで統一する
どんな文字でも基本的には同じですが、横画は一定の方向に統一しつつ、少しだけ右斜め上向きにすると字が美しく見えます。
下の参考例の中段は角度を付けずに筆記することを意識、下段は少し右斜め下向きを意識したものですが、一番上の右斜め上向きが一番綺麗に見えますね。
線を等間隔に書く
横画・縦画が並ぶ文字はそれぞれの隙間が等間隔になるように筆記することで美しい文字になります。
最初はなかなか等間隔で筆記するのが難しいのですが、意識的に隙間を合わせる練習をすると変わってきますよ。
赤く印を付けた部分が意識して等間隔にしたポイント。
横画だけでなく、縦画が並ぶ場合も同じ。また、画数の多い文字も考え方は同じです。
本記事で使用した筆記具について
本記事で使用している筆記具は、パイロット社から発売されているカスタムヘリテイジ912 PO(ポスティング)というモデルの万年筆です。
POは、極細文字が筆記できるため、習字で丁寧な文字を書きたい時に大活躍している筆記具です。
丁寧な字を書きたい時に中字や太字を使ってしまうと、ペン先が滑りすぎてしまいコントロールがし辛くなります。そういった観点からも細字の筆記具をおすすめします。
またこのPOは、極細にも関わらず筆圧に対してほどよくペン先がしなりますので、かけた筆圧が筆跡として繊細に表現できるのが特徴。
また、ペン先が鷹の爪のように曲がっていてることにより、筆記するポイントが見やすく独特の書きやすさがあるのも気に入っている理由です。