万年筆の選び方〜万年筆を選ぶ際に考慮するポイント〜

万年筆の選び方・使い方

順調に増え続ける万年筆。気づけば保有万年筆は60本を優に越しています。相変わらず私自身の万年筆愛は高まるばかりですし、最近「どの万年筆がオススメですか?」といった質問もいただくようになりました。今回は万年筆を選ぶにあたっての基本的なお話をさせていただければと思います。

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万年筆の選び方

まず万年筆を選ぶ際にどんなことに気をつければ良いかポイントをお話ししますと、

  • 使う用途と字幅
  • ペン先の素材(金・鉄)・ペン先の性質(軟・硬)
  • 軸のサイズと軸の重心
  • 軸の素材
  • デザイン
  • 価格

などが挙げられます。それとともに書き手の筆記癖も重要な要素であるため、一概に万人に対してこの万年筆がお勧め!と言えないのが万年筆の特徴です。

またそれぞれのブランド・種類によって違う特徴があるため同じような性質の万年筆を購入したとしても好みが分かれます。同じ14金のペン先でもパイロットのFとプラチナのFだとプラチナの方が硬い書き味みたいな。

それでは一つ一つを見ていきます。

使う用途と字幅

万年筆を選ぶ上で1番大切なのはどんなシーンで使いたいかという事。仕事上でノートやメモを取る、手帳に細かな文字を書き込む、日記を書く、手紙を書く、宛名書きをするなど筆記するシーンは様々です。手帳なら細字、宛名書きなら太字と用途によって字幅を変えるのが一般的です。

※私の用途としては、ノート、手帳、習字など書き物をする際は基本的に万年筆を選ぶことが多いです。万年筆で字を書く行為が好きなのかもしれません。

用途が決まると字幅を選びますが、万年筆の字幅は以下のように設定されています。

EF:(エクストラファイン・極細字)
F:(ファイン・細字)
FM:(ファインミディアム・中細字)
M:(ミディアム・中字)
B:(ブロード・太字)
BB:(ブロードブロード・極太字)

※これ以外にも様々な字幅やペン先がありますし、メーカー独自のペン先もあります。

手帳など細かな文字を書く必要がある場合は細かな文字の書けるF(細字)をお勧めしますし、速記が必要な場合や宛名書きなどでの使用には少し太めの字幅をお勧めします。

個人的には初めての万年筆であれば細めの筆記が可能なFをお勧めしたいです。MやBなど太めのペン先は、細字と比べると滑らかで気持ち良い筆記ができるとともにインクの濃淡を味わう事が出来ます。楽しい・気持ち良い書き味という定義では太めのペン先になるのですが、どうにも実用頻度を考えると制限されてしまう事の方が多いです。

下の写真は中字の万年筆で書いた筆跡です。

1文字をクローズアップすると、

万年筆ならではのインクの濃淡が表現され味わい深い文字を書くことが出来ます。

こういった楽しみ方及び、Mがミディアムである事からMをベースに選んでしまいがちですが、漢字など字画の多い文字を書く日本ではFを基準に選ぶのが良いでしょう。私はFを普段使いの基準にして、筆記を楽しみたい時にMやBなどの太字、また柔らか目のペン先を使っています。

シャープペン・ボールペンと万年筆の字幅比較

0.5mmシャープペン・0.7mmボールペンと万年筆の字幅の差。国産万年筆であるPILOT社のカスタム845Fが0.7mmのボールペンの字幅と近く字幅的な違和感なく万年筆を使い始められると思います。

万年筆の字幅は各メーカーによってバラバラで、また同じ種類の万年筆でも個体差があるケースもあります。同じFでも一般的に国産の万年筆は細く、海外ブランドのFは太い字幅になることを頭に入れておくと良いです。上の写真でもTWSBI(台湾製)のBよりもモンブランのMの方が太くなっていますね。

また万年筆の取扱店では基本的に検討する万年筆の試筆をさせてもらえますが、その際は試筆用紙だけでなく、普段使用するノートや手帳に書かせてもらうことをお勧めします。試筆用紙だと丁度良かったけど、普段の手帳だと太すぎたというケースが生じてしまいます。

保有万年筆の字幅

保有万年筆の字幅。左側のEFでもこれくらいの差が出ます。

ペン先の素材(金・鉄)・ペン先の性質(軟・硬)

ペン先の素材・性質というのは、万年筆のペン先には14金や18金・21金などの金で出来ているもの(金ペン)と鉄やスチールで出来ているもの(鉄ペン)があります。また、筆記時にしなりの強い柔らかなペン先から硬めでガチガチなペン先などがあります。一般的には金ペンの方が柔らかく鉄ペンが硬い書き味と言われていますが、鉄ペンでも軟らかい書き味のものも多くあります。

また、ペン先の種類の中には軟調ニブと呼ばれるものがあり、ペン先が筆圧によってしなりやすくなっているものがあります。
軟調ペンは力加減によって味のある文字が書けるのが特徴ですが、筆圧の強い方がしそういった軟調ペン先の万年筆を使用すると、ペン先が柔らかすぎて撓ってしまいまともに文字が書けないと思いますし、場合によっては壊してしまう可能性もあります。

万年筆の筆記は基本力を入れずに書くことですが、人それぞれの個性が出てしまうものですし力を抜くよう矯正するにも時間が掛かりますのでまずは自分の筆圧にあったペン先を選ぶことをお勧めしたいです。

ちなみに筆圧の高い方は硬めのペン先の方が書きやすいでしょう。筆圧の弱い方はどのような万年筆を使ってもOKのように感じます。私の場合、習字を行なっている事もあり出来るだけ筆圧ゼロを目指して力を入れないように書くようにしています。力を抜いて書いているとこれまで硬めのペン先と思っていたものが柔らかく感じるケースもありますので、硬い・柔らかいの感覚は人それぞれだと感じるようになりました。

自分の筆圧がどれくらいか知りたいときはPILOT社などで定期的に行われている筆圧測定で調べてもらうのがお勧めですが、それが難しい場合は店員さんに書き癖を確認してもらうのが良いでしょう。

軸のサイズと軸の重心


続いて軸のサイズと重心です。

万年筆というとペン先ばかりに意識がいってしまいますが、ペン先と同じくらい重要なのが軸です。細い軸、太い軸、短い軸、長い軸などありますので自分に合った軸を選ぶ必要があります。写真はペリカンの万年筆(左からM300、M400、M600、M800、M1000)ですが、これだけの軸のサイズがあります。

また、軸の重心もポイントですね。万年筆はボールペンと比べると寝かして書く筆記具ですので、キャップを軸の後ろに付けてさらに重心を高い位置(ペン先から見て後ろ)にもっていくケースもあります。※首軸の素材を変えて低重心設計されている万年筆もありますので、どの重心が理想なのかは一概にはいえませんが。

ちなみに一般的には太くて長めの方が長時間筆記に向いていると言われています。私自身もさまざまなサイズの万年筆を保有していますが、私自身にもこの話は当てはまっているようで、腰を据えて筆記したいときには大きめの万年筆を持つケースが多いです。

軸のサイズに関しては、持つ人の手の大きさや感覚によりますのでどのサイズが理想かは難しいところです。

文具屋さんで試筆させてもらっても長時間試筆が出来るわけでもありませんし、その時々で感覚が変わってしまうため判断しづらいと思います。

最初の一本は中間クラスのサイズで万年筆を始めてみて、そこから小さめの方に進むのか、大きなものを持つのかを決めるのが良いかと思います。※私のような鈍感な人間ですと、その日その日によって持ちやすいものが異なりますので困りものです。

軸の素材

万年筆の軸の素材
万年筆の軸の素材にもいくつかの種類があり、主に次の5つに分類されます。エボナイトで作られたものやその上に漆塗りしたもの、樹脂系(レジン・プラスチック)、セルロイド、木、金属といったものです。

軸の素材はペン先に比べるとあまり目立たないポイントでありますが、ペン先以上に重要な要素だったりします。落ち着いた環境でちょっとした筆記程度であればどんな素材でも違和感なく使えますが、長時間筆記、暑く汗をかきやすいなど環境の悪いところでの筆記の際は出来るだけ滑りにくいものを選びたいです。

素材について語り始めると長くなってしまいますので要約しますが、現在一番主流になっているものは樹脂系の素材で作られたものとなります。樹脂系の素材は軽く加工が容易で、年数経過による変化が少ないことが特長です。

私が推しているのはエボナイトで作られた軸。緊張したり暑くて汗をかきやすい環境でも滑らずにしっかりとグリップできるので重宝しておりますが、その分お値段が高くなってしまいます。

値段

もう一つ大切なのがお値段です。万年筆は価格の幅が非常に大きく、安いものでは1000円という安価なものから高級なものでは10万円を超えるものまで。(中には100万を超える万年筆もありますから驚きます)
最初はどの価格帯の万年筆を選べば良いか悩んでしまうわけですが、大きく以下の考え方でよいかと思います。

万年筆がどんなものかを試してみたい方

プロシオンとカクノ
パイロットのカクノという1000円の万年筆、もう少しお金を出しても良いのであればプラチナから発売されたプロシオン(5,000円)をお勧めします。いずれもペン先はスチールペンですが、万年筆ならではの書き味を楽しむことができますしコンバーターを取り付けることにより様々なインクを使うことも可能です。

カクノ

ペン先サイズはEF・F・Mの3種類が発売されておりますが、他の万年筆の字幅と比べて細くEF・Fは紙によって若干カリカリとした書き味になりますので、M(中字)を選ばれると良いでしょう。

また、最近ではスケルトンのカクノが発売され、スケルトンカクノをデコレーションすることも流行っています。
デコカクノ
万年筆というと敷居が高いように感じてしまいますが、カクノであればこんな楽しみ方も気軽に出来るのが良いですね。

プロシオン

プロシオンはプラチナが5年かけて開発したと言われる万年筆で、鉄ペンでありつつも非常に柔らかく滑らかな書き味を得られます。また1年以上放置してもインクの乾かない仕組みやプラチナの技術がしっかりと凝縮された万年筆です。カクノの5倍の5,000円というお値段ではありますがそれだけの価値はあります。

プロシオンについては下記で纏めてますので、合わせてご覧ください。

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本格的に万年筆を使っていきたい方

グランセとカスタム74
本格的に万年筆を使っていきたい方にはパイロットから発売されている「グランセ」か「カスタム74」という10,000円の万年筆をお勧めします。
14金のペン先で本格的に万年筆を始めるのにぴったりです。どちらもパイロットから発売されている万年筆で品質には高い定評があります。(個体差によるハズレが本当に少ないです)
私は細身のデザインに惹かれてグランセにて万年筆を始めましたが、カスタム74の方がペン先がグランセと比べて大きく軸も太い作りになっています。

万年筆の値段は安いものから高いものまで幅広くありますが、いきなり高いものを購入しても違いが分かりにくいかと思いますのであまり高いものを購入する必要はありません。海外ブランドの万年筆はオシャレですし値段に大きな差があるため、(こっちの方が良いんじゃないか・・・)みたいな思いも生じると思いますが、最初は差を見出せないと思います。

※私はグランセの次にモンブランの146という約7万円の万年筆を購入しましたが、当時違いが分かりませんでした。涙

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