木軸万年筆のお手入れ(メンテナンスする理由と方法)

木軸万年筆 万年筆の選び方・使い方

独特の質感の素晴らしさ、温もりを感じさせる手触り、使い込むほどに艶や深みが出てくる経年変化(エイジング)、そして、一本一本に異なる木目や模様があり愛着の湧くのが木で作られた万年筆、木軸万年筆です。

また、木軸万年筆は軸を磨いて美しい艶を出していくという楽しみ方もあり、定期的に磨く事でエイジングを進め美しい艶のある軸へと変化していくのも大きな魅力。そのエイジングの過程は軸を育てていく(育軸)という感覚になり、ハマる人には本当にハマります。

革製品のエイジングにも似たところがあり、革製品の好きな方は木軸の万年筆も好きになるケースが多いのではと思います。私もその一人です。

さて、木軸を定期的にお手入れしてあげる事で、艶を出すだけでなく実用としての様々なメリットも生まれます。

今回はお手入れすることのメリットと私が行っている木軸万年筆の手入れ方法をお話しします。

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木軸万年筆の手入れ

手入れをする事で得られるメリット

木軸を定期的にメンテナンスしてあげる事で、艶を出すだけでなく実用としての様々なメリットが生まれますが、そのメリットについてお話しします。

コーティング効果

一つ目のメリットはワックスを塗る事で木面をコーティングして汚れを弾いてくれます。

万年筆という性質上、汚れの中でも一番怖いのがインク汚れ。丁寧に扱っていても、ふとしたタイミングでインクが木軸に付いてしまう事があるわけで、コーティングしていない状態でインクがついてしまうとインクが木の中に染み込んでしまい取り除く事が出来なくなってしまいます。

私も気付かないうちにキャップにインクをつけて染み込ませてしまった事があり(写真のキャップ部分)、そのインク汚れを中々落とす事ができず落ち込んだ事がありました。ワックスで木軸全体をコーディングしてあげていれば、もしインクが付いてしまったとしてもインクを弾いてくれますのですぐに気づいて拭き取れば大丈夫なケースもあるのです。

乾燥の防止

二つ目は乾燥の防止です。
基本的に万年筆で使われている木は、しっかりと乾燥させた状態で軸材として採用されるので、製品化された後に変形・収縮で、大きな曲り・反り・割れが生じるケースは少ないと思いますが、木材は湿度状態によって変化するものですから、定期的にオイルを塗って状態を一定に保ってあげる方が良いです。

お手入れの方法

さて木軸万年筆をお手入れする方法は、一般的には蜜蝋やワックスなどを定期的に塗る事です。

定期的にワックスを塗ってあげる事で木軸全体に深い艶が出てきますので、メンテナンスしている感も高まるのですが、ここで忘れてはいけないのが汚れ落とし。

手入れをする際に、汚れ落としをしないでワックスを塗り込むという行為は、人間の顔で例えると、

「化粧を落とさず洗顔してない顔の上に、化粧水や乳液を塗り込んでさらに化粧していく状態」

と変わりがありません。

木軸を使っていく過程で、ホコリ、手垢、手脂が軸に付着していくのですから、そういった汚れを落とさずにワックスを塗ると、ホコリ、手垢、手脂の上にワックスを上塗りしてコーティングしているだけになります。

汚れを落とさずにワックスを塗って、「濃い色(深い色)にエイジングされて艶が出てきた」というのは、大体の場合は汚れがコーティングされて艶のように見えているだけなのです。

人間の顔で同じことをやったら大変なことになりますね。

そんな手入れであっても、見た目美しい艶に見えるので使い手が良ければそれで良いのですが、手入れと言いつつ汚れをコーティングしているだけの行為であることは理解しておくと良いと思います。

改めて木軸を手入れする際にまず最初に行うのが、木軸に付着してしまったホコリや手垢・手脂などを綺麗に取り除いてあげること。人間の洗顔と同じように木軸の万年筆であってもまずは汚れ落としを行うことがお手入れの基本です。

さて、何で汚れを落とすか。
木材の汚れ落とし材は、家の床などの汚れ落とし材をはじめ様々な汚れ落とし材がありますが、個人的にはレザー用の汚れ落としクリームで代用しています。

木軸の汚れ落とし
サフィールのユニバーサルレザーローション。汚れ落とし・保革・艶出しの一つで全てがまかなえる優れものです。もちろんシューズや革製品にも当然使えるので一家に一つ置いておくと便利です。

実際に木軸の万年筆にどれくらいの汚れが付着しているのか、汚れが取れるのかを試してみましょう。


写真のカスタム一位の木と槐は1年間ほど全く手入れをしていなかった木軸の万年筆です。
一緒に写っているラナパーは、最後の仕上げに使います。

まず一位の木。

続いて槐。

両方ともそれなりに汚れが付着している事が分かります。この汚れを取らずにワックスを塗ったら大変なことになってしまう事、ご理解いただけたでしょう。

こちらが汚れ落としが終わった状態。どちらもさっぱりとした表情になりました。

さて、ユニバーサルレザーローションの特徴として、汚れ落とし以外にも保湿と艶出しの両方を一本で済ませる事ができるという特徴がありますので、お手入れとしてはこれだけでもOKです。

このローションのみで仕上げた場合、艶出しの効果はそこまで高くはなく、さっぱりとした表情でさらさらとした触り心地に仕上がります。それでいてある程度の保湿効果もありますので、お手入れの目標として、購入初期の状態にいつまでも近づけていたい方にはユニバーサルレザーローションのみでお手入れをするのが良いです。インク汚れから守る為の油膜効果も多少はあると感じます。

ただ、それ以上に艶を出したい方にはラナパーや蜜蝋などを上から塗ってあげることでより艶のあるエイジングを進める事ができますし、油膜効果も高くなりますのでインクなどの汚れにも強くなります。

今回はラナパーを塗ってみました。どのように艶が出るかを見るために、ローションのみで仕上げた状態、胴軸にラナパーを塗った状態、キャップにもラナパーを塗った状態と写真を並べていきます。

ローションのみで仕上げた状態

胴軸にラナパーを塗った状態

全体(キャップにも)にラナパーを塗った状態

少しずつですが、艶の状態が変わったのが伝わるかと思います。ちなみに塗り方としてはごく少量のラナパーを指先に付けて木軸全体に塗り込んでいきます。ある程度塗った後はタオルなどでベトベト感が無くなるまで拭き取ります。

ちなみに木の種類やワックスの種類によって、全体に透明感が出たり色合いが濃くなったりしますので、ワックスは好みで選ばれるのが良いかと思いますが、今回使ったラナパーは、蜜蝋とホホバ油など自然素材で作られたワックス。ラナパーを塗る事で色が濃くなっていく傾向にはありますが、保油、防水、カビ防止などの効果が高いとともに、人間に優しい成分のみで作られているので手に持つ万年筆用途にはおすすめです。

お手入れの頻度


木軸万年筆のお手入れの頻度ですが、その万年筆の使用頻度にもよりますが、1,2ヶ月に一回程度で問題はありません。表面が乾燥してきて油膜効果が無くなってきたかなと感じた時を目処に行う程度で大丈夫です。

ぜひ、お試しください。

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