銀座伊東屋にて開催されたシステム手帳サロンにて、ファイロファックスのグラフィックデザイナーである「アンドリア・ユネス」さんのトークショーを聞いてきました。
今回は、ファイロファックス(fILOFAX)の歴史とファイロの売れ筋のシステム手帳【マルデン】のお話をメインにしていただきました。
マルデンは発売されてから約10年が経過するファイロの中でも売れ筋の革製のシステム手帳であり、仕事だけでなくプライベートでも活用したいという現代のシステム手帳ユーザーの用途にぴったりな製品。今回マルデンシリーズにパステルカラーとM5サイズが追加発売されることになったため、開発秘話なども含め面白いお話を聞くことができました。
マルデンの魅力について共有させていただきます。
ファイロファックスシステム手帳【マルデン】
マルデンの開発ストーリー
マルデンはファイロファックスのディレクターであるジュリア・ランハイン氏監修のもとで、2009年に発売された革製のシステム手帳バインダーです。
彼女がマルデンで使用する革を開発するためにイタリアに訪れた際、ジュリアが革職人に要望したのは柔らかい革。当時のシステム手帳において柔らかい革を使ったシステム手帳は存在しなかったため、イタリアの革職人は仰天して「システム手帳に柔らかい革は合わない・ユーザーに受け入れられない」と言われたそう。
当時のシステム手帳で使われる革は硬いのが一般的。今でもシステム手帳の革製バインダーは硬くしっかりしているものがほとんどです。私自身もマルデン自体を初めて見たとき、革が柔らかい事に対して、「これじゃ仕事に使えないよ。立って書けないじゃん」というのが第一印象でした。(立って書くことなんてほとんど無いのだが何を求めた自分?)
しかし、当時ジュリアの頭の中では消費者が欲しいものは柔らかい革を使ったシステム手帳だと確信を持っていたよう。理由としては2009年頃は消費者の思考が変わり始めた時期で、システム手帳がビジネスだけでなく個人の趣味でも使い始められた時期だったからとのことです。
柔らかい革のシステム手帳であれば仕事でも使えるし、プライベートでも使える。そういったアイデアから柔らかい革にこだわって開発を進めたとお話いただきました。
なお、ジュリアの要望する革はイタリアでも存在しておらず、イタリアの職人と一緒に開発を進めていきます。
ジュリアが革職人に出した要望は、厚くて弾力性があってもしっかり開く、そして柔らかい革。
最終的に完成したマルデンの革はバッファローレザーで作られておりオイルをしっかり含めた革です。オイルをふんだんに含んだ革を使用したことで、革がさらに柔らかくなり、また多少の傷がついたとしてもこすってあげれば目立たなくなるという効果があります。
気を使わずにカバンにザッと入れられるなど、多少雑に使っても傷付きづらい(ついてもこすれば目立たなくなる)製品に仕上がっているのは、それだけで大きな魅力ですよね。
糸縫いについてはファイロファックスの伝統的な製法であるトリムドエッジという製法が使われています。二つのレザーの表面と表面を重ね合わせてそれを別の革で包み込み、太い糸で編みこむという製法で、ファイロならではのユニークなものとして評価をされているようです。
また、ストラップ部分においてはイタリアで見た1930年代の靴のデザインからインスピレーションを得たとのことで、ストラップを止めるところの下にもう1枚革を入れてデコレーションがされています。この辺りがマルデンの特徴でイタリアをイメージしたデザインとなっています。
なお、初代マルデンは上の写真のオークル色からスタートし多色展開されていきました。
最初にオークル色を採用した理由は、このオークル色がイタリアを代表する色であるとともに、革本来の表情が出やすい、感じやすいといった点でも魅力的な色あったからです。
「リッチで美しい」そんな色でもあるとおっしゃられていました。さすがイタリア。
ファイロ社としては気楽に使いこなしていただけることに重点をおいていた事からも最初に出す色としてオークル色は適切であったようで、ジュリアの予想は見事にあたり、2009年に世に出てから世界で人気なヒット商品となりました。
マルデンの仕様
様々な開発コンセプトが詰まったマルデン。改めてどんなシステム手帳かを見ていきましょう。バインダーを開けると、「一つでなんでも出来るじゃん!」。そんな期待感を持てるマルデンは、言い換えれば小宇宙のような存在。
この収納力。(写真はM5)
さらにマルデンにはお財布のようなポケットもついているこだわりよう。
ポケット大好きです。マルデンだけ持って自分探しの旅に出たい。そんな風に感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
なお、このポケットはミニ6とM5の仕様でバイブルサイズにはこのポケットが付いていません。バイブルに付けなかったのは重量的に重くなりすぎてしまった為とのことです。
改めてマルデンが世界中で好かれて選ばれる理由を纏めると、一つのシステム手帳に様々な機能が用意されており、ジップのポケットに鍵を入れたり、携帯電話をシステム手帳にはさんだりとユーザーの用途に適した使い方が出来ること。そして革が柔らかく、何を入れても受け入れてくれる構造も人気の要因だとか。
ちなみに革が柔らかくて様々な機能があるので、マルデン利用者の中にはリングを使わないユーザーもいるようです。もはやシステム手帳じゃ無い。笑
アンドリアとしてはリングを使わなかったとしても、様々な使い方をしてくれるのがデザイナーとしても嬉しいとおっしゃられていました。
この膨らみ具合、そして柔らかい革であるからこその包容力が伝わってきます。収納力という観点では、マルデンはベルトが大きいので、いろんなものが入れられてぽこっと膨らんでも閉じられるようです。写真を見てもまだまだ詰められる感があります。
ちなみにグレーのマルデンにはフランクリンプランナーのリフィルも挿さっています。フランクリンプランナーのリフィルは一般的なバイブルサイズのリフィルよりも幅が広いのですが、そういった幅広のリフィルもしっかり収まっていました。
最近は中身がパンパンで分厚くなったシステム手帳が可愛いという文化も生まれ始めていますので、そういった観点からもマルデンは現代のユーザーに合ったシステム手帳と言えます。
パステルカラーとM5サイズの発売について
さて、今回マルデンのラインナップにパステルカラーとM5サイズが追加されました。以前はビジネス用途感の強かったシステム手帳も、こういった可愛らしい色が登場してくるとプライベートユーザーも手に取りやすくなります。
イギリスではシステム手帳は自分自身を反映する道具としての存在である事から、パステルカラーはすごく人気のある色だそうです。持っていてワクワクしちゃう色ですよね^^
ちなみにマルデンのパステルカラーを開発する上で難しかった点は、革自体が自然のものなので、ムラなくパステルカラーに染め上げるのが大変苦労したとのお話もいただきました。
もう一つM5の発売について。日本では現在爆発的なM5ブームですから、マルデンのような収納力の高いM5が登場したのはユーザーにとって嬉しい限り。
ファイロファックスでは以前M5を作っていたけど、世界的に人気のない時期が続き要望が下がってしまった事から販売を中止したそうです。具体的には携帯電話が出回り始めた頃で、小さなM5に書く内容は携帯電話に書く文化が主となっていた。その当時紙を使う場合はA5など大きなサイズがメインだったようです。
しかしここ数年でバイブルやM6の人気が戻ってきました。また、A5など大きなサイズも使っているが、小さいサイズを一緒に持ち歩きたいというユーザーも増えてきた事から、ファイロにM5をもう一度作って欲しいという要望が増え、開発を再開したとのお話を聞けました。
大きなシステム手帳だと荷物が多い時に悩みますが、M5という小さなサイズであればどこにでも持ち歩けますよね。それでいてマルデンの収納力ですから、ユーザーとしても嬉しい限りです。
プライベートでシステム手帳を使いたい、また仕事でシステム手帳を使いたいけど堅苦しいのは嫌だ。マルデンはそんな方にぴったりなシステム手帳だと感じました。
システム手帳サロン
開催期間:2019年11月8日(金)~25日(月)
場所:銀座 伊東屋 G.Itoya10階 HandShake Lounge
詳細:https://www.ito-ya.co.jp/store/itoya/gitoya/recommend/2019/11/003688.html
2 件のコメント
はじめまして。
システム手帳サロン初参戦ながら、私もお話聞いていました。
お話を聞いて、ちょうどバイブルサイズの手帳をリプレイスしてようと思っていたこともあり、数年ぶりに復活という黒マルデンを購入しました。
vardhanaさん、はじめまして!
おお、では一緒の空間にいらっしゃったんですね〜。
僕も欲しくなりましたが、先日オリジナルを購入したばかりでしたので、今回はガマンしました!
マルデン良いですよね^^