プライベートはもちろん仕事で使ってても恥ずかしくないデザインの万年筆が欲しい。気軽にガシガシ使え、もちろんお値段はそこそこなやつ。
そんなユーザーにオススメなのがLAMY社のsafari(サファリ)とその兄弟分的存在のAL-star(アルスター)。
お洒落なデザイン、リーズナブルな価格、そして使い勝手の良さ。コスパの良さを売りにする万年筆は数多く存在しますが、その中でもsafariは群を抜いて人気の高い万年筆です。
今回はそのsafariの魅力についてお話しします。合わせて兄貴分のAL-star(アルスター)も紹介します。
目次
LAMY Safari & AL-starについて
初めてサファリを見る方であれば、その洗練されたデザインに最近発売された万年筆と感じられるかと思いますが、この万年筆が発売されたのは1980年と、すでに発売から40年以上の歴史を持つ万年筆です。
サファリ・アルスターを製造販売するLAMY社は1930年にドイツで創業された老舗筆記具ブランド。子供向けの筆記具から高級ライン(価格帯で言えば1000円から70,000万円)まで、個性的で特徴のある70種類以上のラインナップを揃えています。
どのモデルにも共通して言えることは、装飾をいっさいなくし、書くことに徹した設計をしていること。徹底して「より少なくする」をコンセプトにデザインすることで、機能美を追求し個性を際立てています。そういった背景からLAMY社の筆記具は飽きが来ず長く使い続けられるとともに、時代が進化しても愛されるロングセラーが誕生していると聞きます。
ラミー社のロングセラー商品(発売年と製品名)
- 1966年〜:LAMY2000
- 1974年〜:LAMY cp1
- 1974年〜:LAMY twin pen
- 1979年〜:LAMY st
- 1980年〜:LAMY safari
- 1983年〜:LAMY logo
- 1987年〜:LAMY abc
- 1990年〜:LAMY swift
- ※アルスターは1997年発売
このように多くのヒット商品を生み出しているLAMY社の筆記具の中でも、サファリは最も多くの本数が作られ販売されている代表格となる筆記具になります。
なお、初代サファリはサバンナグリーンとテラコッタオレンジの2つのカラーでスタートしましたが、この2色は売れ行きが悪く、サファリを救ったのがその後に登場したホワイトだと言われています。
サバンナグリーンとテラコッタオレンジの2つのカラー、個人的には発売された時代が合わなかっただけのような気がしますね。今復刻版として発売したらそれなりの需要がありそうに感じます。
サファリの特徴
サファリの特徴としてまず挙げられるのが、一眼でサファリと分かる個性的なデザイン。
特に大きめのワイヤー製のクリップが特徴的で、サファリであることをしっかりと主張しています。この大きなクリップは、デザインだけを主張するのではなく、スーツの胸ポケットはもちろん、厚手の生地にもはさみやすく持ち運びしやすいように考えてデザインされています。
首軸(グリップ)部分にもこだわりがあり、サファリの形状に合わせて指を添えれば正しい持ち方ができるよう、手を添える部分が三角形にくぼんでいます。
私も習字を始めた頃は、ペンの持ち方がとにかくダメでしたのでサファリを強制的に使って正しい持ち方を練習させていただきました。
また、この価格帯の万年筆には珍しいインク窓も。インク窓があることでインクの残量が確認できます。
インクはカードリッジまたはコンバーターの両様式になっていますので、別売のコンバーターを取り付けることで好きなインクを楽しむことも可能です。
字幅の種類と書き味
国内販売されているサファリの字幅は、EF、F、Mの3種類があり、私は現在EF2本、F2本、M3本を保有しています。
書き味は鉄ペンならではの硬めの書き味で、この硬めの書き味が万年筆初心者にもおすすめされている理由の一つ。使い慣れないユーザーが万年筆を使うと、強い筆圧でペン先をダメにしてしまうケースがあるのですが、サファリの硬さであればある程度の筆圧でもしっかりと持ち堪えてくれます。
筆記感としてはサラサラとした書き味ですが、正直なところ少なからずのばらつきがあり、滑らかにかけるサファリ、カリカリと引っかかりを感じてしまうサファリがあることは否めません。
滑らかに書けるサファリは本当に素晴らしく、特にM(中字)で当たりサファリを引いたときは、引っかかりを一切感じさせず鉄ペンといえどぬらぬら感のある素晴らしい筆記感を味わえますよ。
また、字幅ごとの筆記線も写真の通りで、上からEF、F、Mと並べていますが、EFとFの違いはあまり分かりません。3本のMでも5番と7番ではかなり違うのが伝わると思います。4番のFの方が5番のMより太い筆記線になっています。笑
とは言いつつ、当たり個体を引かなかったら書き味がダメではなく、万年筆として普通に使える書き味は提供してくれるのでさほど心配する必要はありません。
これくらいの感じのバラツキがあり、また、サファリは店頭で1本1本試筆させてもらえるお店も少ないので、なんとなく極細、細字、中字と捉えておき、当たり個体だったらラッキー、外れたらペン先調整に出そうくらいで考えておくのが良いかもしれませんね。
ちなみに個人的にはM(中字)の使用頻度が一番高いです。サファリは日々の実用品としてテーブルに転がしておいてラフに使うシーンが多く、筆記内容もメモなどの殴り書きがメイン。そういった時は細字よりも太い方が書き易く、サファリのMはそういった要望にしっかりと応えてくれます。
サファリとアルスターの違い
LAMY AL-star(ラミー アルスター)は、サファリの設計をベースに、ボディとキャップにアルミニウムを採用し、グリップをスケルトンブラックにしたモデル。サファリと比べて大人向けに設計されており、軸径はやや太めになっています。
写真左側の4本がサファリ、右側の3本がアルスター。
サイズ比較
サファリ:軸径12.5mm、重さ:17g
アルスター:軸径13.0mm、重さ:21g
長さはサファリもアルスターも同じで、収納時の長さ:140mm、キャップを外した時の長さ:129mm、キャップを尻軸に付けた時の長さ:166mmとなる。
発売時期
サファリは1980年、アルスターは1997年。
デザイナーはいずれもWolfgang Fabian(ウルフギャング・ファビアン)
ターゲット
サファリは小学生向け、アルスターは大人向け
※ドイツの小学校では、学生が使用する筆記具は万年筆が基本で鉛筆はあまり使用しない。子供向け万年筆の中でもサファリ・アルスターは人気で圧倒的にユーザーが多いと言われている
万年筆の価格
サファリが定価4,000円に対してアルスターは5,000円。
サファリ沼・アルスター沼という存在
さて、今回紹介しているサファリ・アルスターには、サファリ沼(アルスター沼)という言葉があります。サファリは定番カラーで7色展開、アルスターも4色が展開されております。
- サファリ定番カラー:
ホワイト、ブラック、シャイニーブラック、スケルトン、レッド、ブルー、イエローの7色 - アルスター定番カラー:
グラファイト、ディープパープル、オーシャンブルー、オールブラックの4色
ボディーカラーごとにそのカラーに合うインクを入れて楽しむという使い方がありますので、気づくと2本、3本と増えていってしまうのですね。
また、サファリ・アルスターは毎年限定カラーや、どこどこの地域(国)限定カラー、どこどこの○○文具店のみで限定発売されるカラーなど、コレクターが熱くなる要素を定期的に与えてくれます。
ボディの色だけでなく、クリップの色、天冠の色、ペン先の色など少しずつ異なる要素があり、コレクションしてグラデーション的に並べるのも楽しいでしょうね。
私はサファリ沼に落ちませんでしたが、歴代の限定カラーとそれぞれの特徴を下記に載せておきますので、興味のある方は挑戦してみてください^^
ラミーサファリ限定カラー
2004年 オレンジ レッドクリップ
サファリ誕生25周年を記念して発表されたオレンジ×レッドクリップ。2009年限定のオレンジカラーとの違いは、クリップが赤となっているのが大きな違いです。
クリップ:レッド
ペン先:シルバー
天冠:レッド
Oリング:ブラック
2006年 ロイヤルブルー レッドクリップ
ロイヤルブルーのボディにレッドクリップを組み合わせたインパクトのある組み合わせが特徴的なサファリ。
クリップ:レッド
ペン先:ブラック
天冠:レッド
Oリング:ブラック
2007年 ホワイト
2007年には今では定番色として発売されている「ブラック」と「ホワイト」が登場します。
売れ行きが悪かったサファリを救ったと言われる元祖ホワイトは、2002年に廃番になっていますが元祖ホワイトはクリップがブラックだったようです。
また、ボディのホワイトの色合いにも差があり廃盤になった元祖ホワイトがややアイボリーがかったオフホワイトで、2007年限定ホワイトは、明るいホワイトと多少の違いがあるようですね。
クリップ:シルバー
ペン先:シルバー
天冠:グレー
Oリング:ホワイト
2007年 ブラック
光沢感のあるブラックボディとシルバーのクリップ組み合わせが上品な仕上がりとなっています。
クリップ:シルバー
ペン先:シルバー
天冠:ブラック
Oリング:ブラック
2008年 ライムグリーン
サファリの中で始めて登場した蛍光カラーとして人気が高いモデルです。
クリップ:シルバー
ペン先:シルバー
天冠:ブラック
Oリング:ブラック
2009年 ピンク
2009年にはピンクとオレンジの2種類が発売されました。ピンクはビビットなカラーが特徴的で、天冠部分まですべてがピンクに染まった一本です。
クリップ:シルバー
ペン先:シルバー
天冠:明るいピンク
Oリング:ブラック
2009年 オレンジ
ピンクと同時に発売されたオレンジは2004年に購入できなかったユーザーもこぞって購入。2004年版と異なるのはクリップがシルバーになっている部分です。
クリップ:シルバー
ペン先:シルバー
天冠:オレンジ
Oリング:ブラック
2010年 ホワイト レッドクリップ ジャパン リミテッド
サファリ誕生30周年を記念して発表された日本だけで発売された限定色はジャパンカラー(ホワイト×レッド)のコンビネーション。
クリップ:レッド
ペン先:シルバー
天冠:レッド
Oリング:ホワイト
2011年 アクアマリン
爽やかなアクアマリン。ドイツ(スイス・オーストリア含)以外の市場で販売された限定アイテム。
クリップ:シルバー
ペン先:シルバー
天冠:アクアマリン
Oリング:ブラック
2011年 フレンドシップペン
日本とドイツの国交が始まって150周年を記念して発売された特別なペンです。日独交流150周年のロゴが刻印されています。
クリップ:イエロー
ペン先:ブラック
天冠:レッド
Oリング:ブラック
2012年 グリーン
ビビットな明るい蛍光グリーン。楽しくなりそうな鮮やかな発色です。
クリップ:シルバー
ペン先:シルバー
天冠:グリーン
Oリング:ブラック
2013年 ネオン
サファリで初めてとなる蛍光カラー「ネオン」がレモンカラーで登場します。
クリップ:シルバー
ペン先:シルバー
天冠:ブラック
Oリング:ブラック
2013年 ホワイト レッドクリップ
2010年に発売された日本限定モデルの復刻版として発売されました。
クリップ:レッド
ペン先:シルバー
天冠:レッド
Oリング:ホワイト
2014年 ネオンコーラル
2013年のネオンに続き2014年も蛍光カラーの「ネオンコーラル」。蛍光ピンクです。
クリップ:シルバー
ペン先:シルバー
天冠:コーラルピンク(珊瑚色)
Oリング:ブラック
2015年 ネオンライム
2015年のスペシャルカラーも明るくて爽やかな印象の蛍光ライム。鮮やかで明るいサファリです。
クリップ:シルバー
ペン先:シルバー
天冠:ブラック
Oリング:ブラック
2016年 ライラック
シックなパープルが特徴のライラックが2016年限定カラー。パープルとブラックのコンビネーションが大人の雰囲気を醸しています。また、限定モデルとしては初めてマット仕上げが施されています。
クリップ:ブラック
ペン先:ブラック
天冠:ブラック
Oリング:ブラック
2017年 ペトロール
ペトロールをひと言でいうと青緑ですが、ブルーとグリーンにグレーを混色したような絶妙な色合いが魅力的。
クリップ:ブラック
ペン先:ブラック
天冠:ブラック
Oリング:ブラック
2018年 オールブラック
ペン先から天冠まで全てブラックで統一されたサファリ。マット感のあるブラックでよりシックに仕上がっています。
クリップ:ブラック
ペン先:ブラック
天冠:ブラック
Oリング:ブラック
2018年 White Safari with red clip
韓国、台湾、日本の3カ国でしか発売されず、国内でも数店舗でしか販売されない限定カラー。
クリップ:レッド
ペン先:シルバー
天冠:ホワイト
Oリング:ホワイト
2019年 パステル
2019年は同時に3色のパステルカラーが発売されました。色は、パウダーローズ、ミントグリーン、ブルーマカロンです。
パウダーローズ
クリップ:シルバー
ペン先:シルバー
天冠:パウダーローズ
Oリング:パウダーローズ
ミントグリーン
クリップ:シルバー
ペン先:シルバー
天冠:ミントグリーン
Oリング:ミントグリーン
ブルーマカロン
クリップ:シルバー
ペン先:シルバー
天冠:ブルーマカロン
Oリング:ブルーマカロン
2019年 ホワイト ブラッククリップ
クリップ:ブラック
ペン先:シルバー
天冠:ブルーマカロン
Oリング:ブルーマカロン
2020年 キャンディ
サファリの2020年限定色は、ジューシーなキャンディカラーで3色(ヴァイオレット、マンゴー、アクアマリン)
サファリのアイコンでもある大きなワイヤークリップをボディと同一のカラーで仕上げた、初めてのスペシャルエディションです。シルバーのペン先を除いて、ボディ・クリップ・天冠・Oリングまで全て色が統一されています。
ヴァイオレット
マンゴー
アクアマリン
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