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フォルカン万年筆レビュー・パイロットが誇る軟調ペンは味のある筆跡を楽しめる

パイロットカスタム743FA フォルカン

万年筆というと、ペン先が柔らかく弾力性に飛んだ書き味ってイメージありませんでしたか?

私自身、万年筆を購入する前までは、金属製の薄いペン先の弾力による筆圧に応じた強弱を楽しめるイメージがありました。毛筆ペンに金属のコシがある感じです。

細い筆記線と太い筆記線を、筆圧のコントロールによって自由自在に操れる。そんな印象に感じられた方、私だけではないはずですよね。

そんな筆跡を残すことのできるのが、パイロットのフォルカンという万年筆。他の万年筆では味わえない、圧倒的に柔らかな書き味で強弱の効いた筆跡を残せる万年筆です。

パイロットフォルカンについてレビューします。

パイロットフォルカン万年筆レビュー

フォルカンの筆跡

今回紹介するのは、パイロット社から発売されているカスタム743フォルカン(FA)という万年筆で、上の写真のような筆記線の強弱の効いた筆記線を書くことができます。

昔の万年筆は、こういった柔らかいペン先のものが多かったのですが、近年ボールペンが主流になってからは高い筆圧の方でも使えるように、硬めのペン先のものが主流になってきてしまったようです。

フォルカンはパイロット社の特殊ペン先の一つですが、筆圧によってペン先が柔らかくしなるため、味のある文字が書けることで人気です。しかし使いこなすのが難しいという評価も多いペン先であったりします。

私自身、初めてフォルカンを使用した際には、「あ、これこれ!昔からイメージしていた万年筆の柔らかい書き味だ!」と感動しつつも、使い慣れるまでには一苦労ありました。

カスタム743FA

こちらがフォルカン万年筆のペン先のデザイン。再度が削られおり、この形状によって筆圧をかけると縦にしなりつつ横にも割れて開くという独特の書き味になります。

フォルカンペン先を選ぶのは3つのシリーズから

フォルカンという万年筆を紹介する上で軸自体のレビューとフォルカンという特殊なペン先の書き味についての二本立てで紹介する必要がありますが、今回はフォルカンという特殊ペン先についてクローズアップしてお話しします。

とは言いつつ、シリーズによってフォルカンペン先をを選べるもの・選べないものがありますので、フォルカンペン先の選び方について概要のみ先にお話しします。

パイロットの万年筆・カスタムシリーズ・ヘリテイジシリーズについて

パイロットの万年筆にはカスタムシリーズとヘリテイジシリーズがあります。

カスタムシリーズには、カスタム74、カスタム742、カスタム743、カスタム845、カスタム漆と大きく5種類のサイズがあります。(他にもカスタム823が存在しますがサイズ的な部分やペン先は743と基本変わらないので外します)

また、ヘリテイジシリーズには、ヘリテイジ91、92、912の3種類があります。

それぞれの違いは以下の通り。値段の安い順に並べます。

シリーズ名 ペン先字幅値段
カスタム7414K 5号EF・F・SF・FM・SFM・M・SM・B・BB
の9種類
13,200円
ヘリテイジ9114K 5号
ロジウム仕上
EF・F・SF・FM・SFM・M・SM・B・BB
の9種類
13,200円
ヘリテイジ9214K 5号
ロジウム仕上
F・FM・M・B
の4種類
16,500円
カスタム74214K 10号EF・F・SF・FM・SFM・M・SM・B・BB
・C・MS・PO・FA・WA・SUの15種類
22,000円
ヘリテイジ91214K 10号
ロジウム仕上
EF・F・SF・FM・SFM・M・SM・B・BB
・PO・FA・WA・SU・C・MSの15種類
22,000円
カスタム74314K 15号EF・F・SF・FM・SFM・M・SM・B・BB
・C・PO・FA・WA・SUの14種類
33,000円
カスタム84518K 15号F・M・B・BBの4種類55,000円
カスタム漆
(URUSHI)
18K 30号FM・M・Bの3種類96,800円
FAがフォルカンの略称。値段は税込

パイロットの万年筆はそれぞれのシリーズによって選べる字幅が異なるのですが、フォルカンペン先は、カスタムシリーズであればカスタム742とカスタム743の二つに、カスタムヘリテイジ912のペン先としても選べます。

カスタム743のフォルカンとカスタム742・ヘリテイジ92のフォルカンとの大きな違いはペン先のサイズです。

カスタム743ペン先には14K15号ペン先が付いていますが、カスタム742・ヘリテイジ92のフォルカンは14K10号ペン先になります。フォルカンペン先を購入する際は、14K 10号ペン先のフォルカンを購入するか、14K 15号ペン先のフォルカンを購入するかどちらかの選択になります。

14K10号フォルカンと14K15号フォルカンの違い


さて、フォルカン軸を選ぶ際10号サイズか15号サイズのどちらかを選択することになるのですが、この二つ、全く書き味が異なります。

名前は同じフォルカンですが、違う万年筆と考えて良いレベルです。

カスタム742や912についている10号サイズのフォルカンの方が圧倒的に柔らかくフニャフニャとした書き味で、カスタム743の15号フォルカンは柔らかさの中にコシがあります。

10号フォルカンは保有はしていないものの何度も筆記した事がありますが、15号FAの感覚で試筆してしまうと、ちょっとした筆圧でスリット(万年筆のペン先)がぐにゃっと大きく開いてしまいます。

万年筆専門店のスタッフさんに聞いた話ですが、筆圧の高い万年筆未経験者の方が10号フォルカンを触ってペン先を壊してしまったこともあるそうです。

10号フォルカンの方が柔らかさを活かした味のある筆跡を残せそうですが、私が15号のフォルカンを選んだのは10号だと柔らかすぎて使いこなせないと感じたためです。

単純に742や912の10号フォルカンの方が値段が安いからと選んでしまうと、意図しない柔らかすぎる書き味に使いづらさを感じると思いますので、個人的には743の15号フォルカンをお勧めしたいです。

フォルカンの書き味

フォルカンの書き味についてお話しします。

フォルカンは、筆圧を掛けると縦にしなりつつペン先が開く(割れる)タイプの軟調ペン先です。

ペン先が閉じているときは細い筆記線、ペン先が開いたときは太い筆記線とより味のある筆記が楽しめますが、筆圧をかけすぎてしまうとスリットが割れてインクが出なくなってしまったりと、上手くコントロールできない事もあります。

15号フォルカンはコシがあるのである程度はコントロールできるのですが、10号フォルカンの柔らかさだと制御するのがさらに大変です。

下の写真がフォルカンでの筆記線です。

筆圧でここまで筆記線が変わりますので、間違いなく遊びたくなります。

筆で書いたような文字?ではありませんが、なんとなくカッコ良い文字がかけそうな気がしちゃうんです。笑

以前はこの線の強弱を活かし、味のある文字を書きたいと練習していましたが上手く書けませんでした。

購入当初は筆記線の強弱をつけたくて、無駄に力が入ってしまっていたというのが大きな理由です。万年筆筆記の基本は力を抜いて書く事ですから、FAを持った瞬間に力を入れる(筆圧を掛ける)という事自体がよろしくないのですね。

万年筆は意図して筆圧をかけなくとも、筆記時、ペン先と紙面との接触による変動により、しなり、スリットの開き具合が繊細に変化し、自然と味のある筆記線が出るものだったりします。

下の写真は筆圧を意識しないで書いた文字と、あえて意識して筆圧をかけた文字。

筆圧をかけたほうが線の強弱は出ていますが、筆圧をかけなくともそれなりの強弱が出ているかと思います。

こちらも筆圧ゼロを意識して書いた文章。

これでもフォルカンっぽさは出ていると思います。

逆に筆圧をかけてしまうと文字がどんどん崩れてしまいまともな字になりません。結局のところ筆記の基本は力を抜いて書く事でそれはフォルカンでも同じ。フォルカンが難しいと感じるケースのほとんどが筆圧をかけすぎてしまっている事だと思いますので、一度筆圧ゼロで書いてみると良いでしょう。

フォルカンをおすすめしたい方

フォルカンのペン先は非常に柔らかく縦にしなりつつスリットが横にも広がる為、筆記線に強弱を付けやすい万年筆です。

そういったペン先の柔らかさを活かして味のある文字を書くことに挑戦してみたい方にはぜひ試していただきたいペン先です。

逆に筆圧が強い方には向かないペンです。

筆圧が強いままフォルカンで筆記してしまうと、スリットが割れてしまいインクが出なくなってしまうこともありますから、無理に手を出す必要はないかと思います。

筆圧を下げる練習にとフォルカンを選ぶ方もいらっしゃいますが、インクが出ない事にストレスを感じてしまい嫌になってしまう可能性も否めません。

とは言いつつ他の万年筆では味わうことのできない面白い万年筆であることは間違いなく、万年筆ファンであれば一度は試して欲しい一本です。

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よしぞー

よしぞー

万年筆、ボールペン等の筆記具沼・ゲーム沼・美容沼、そして革沼など複数の沼のほとりにて、物欲のままに暮らしてます。このブログは使用した物のレビューを中心に好きなことを気ままに書いてます。ご覧になられた方が一人でも多く沼に堕ちてくれたら嬉しいです。

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