- 万年筆って難しそう!
- 書き方によってはインクが出ないらしいし、メンテナンスも必要って聞いたよ!
- すごく高いし、壊してしまいそうで心配・・・。
万年筆を興味を持ち始めた方の多くが、感じる万年筆に対しての印象です。
私も万年筆を使い始める前はこのような印象を持っていて、1本目の万年筆を購入するのにとても躊躇した思い出があります。
そんな「万年筆は難しそう・敷居が高そう」という印象を大きく変えたのが、パイロット社から発売されているカクノ(kakuno)という万年筆。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、カクノのおかげで万年筆という筆記具の敷居が下がり、誰でも気軽に購入し楽しめる筆記具に変わりつつあることは間違いありません。
今回は、カクノについてレビュー・紹介いたします。
目次
カクノの歴史とコンセプト
まず、カクノの歴史とコンセプトについて簡単にお話しします。
カクノが発売されたのは2013年10月20日で、元々は小学生をターゲットとした万年筆です。
可愛らしいデザインでありつつ、本格的な万年筆の書き味を楽しめる性能、そして定価は1000円と気軽に購入できる価格帯で発売されました。
発売当時のコンセプトは、
- ボディデザインは鉛筆と同じ六角形で、転がりにくく持ちやすい形状
- なだらかな三角形のグリップ部分は、筆記時に親指、人差し指、中指が自然に収まる設計で万年筆はもちろん、筆記具の正しい持ち方の習得に役立つ
- 強い筆圧でも使いやすいステンレス製の固めのペン先で細字と中字の2種類を用意
- 筆記時にペン先の正しい向きが一目でわかるよう、ペン先にえがおのマークを施し、最適なポジションで筆記出来るよう設計
初年度の販売目標は15万本に設定されていましたが、発売から9か月経過した時点で50万本を突破、1年後の2014年9月末までに65万本という爆発的ヒットに。2017年には200万本を超えるベストセラーまで成長しました。
元々は小学生向けでの発売でしたが、今では万年筆入門に最適と言われて、子供から大人まで幅広い層で人気の高い万年筆です。
カクノの魅力
カクノを語る上で外せないのが、定価1000円と万年筆の中では圧倒的な安さであるのにも関わらず、驚くほど書き心地が安定していること。
1000円だから書き味が悪いとかそういった妥協は一切なしで、万年筆ならではの書き味を十分に楽しませてもらえます。
実は、パイロットのラインナップでカクノの3倍の値段となる3,000円のコクーンという万年筆もカクノと同じペン先を使っているのですよ。
コクーンとカクノのペン先。
ですので、1000円という価格が安いから安いなりということは一切ありません。
なおカクノとコクーンの違いは、コクーンのボディ素材がカクノよりも高級なものとなっています。書き味は変わりませんが、ビジネスでちょっと良いものを持ちたい方はコクーンの方がお勧めです。
おすすめは透明カクノ
透明カクノはボディがスケルトンになっていますので、中に入れたインクが透けて見えます。
インクが透けて見えるという事は、
- インクの残量が一眼で確認できる
- それだけで綺麗に見える
- 複数のインク色の万年筆を使う時に便利
と様々なメリットがあり、スケルトン万年筆は、万年筆愛好家の中で強い人気のあるジャンルなのです。
ちなみに万年筆のペン先のデザインは、それぞれのブランドが力を入れている部分でもあります。
そして改めてカクノのペン先。
高級感はありませんが、可愛らしさであれば圧倒的にカクノの勝利ですね。
コンバーターを使って万年筆の醍醐味を楽しむ
カクノを購入すると、カードリッジタイプのブラックインクが一本付属されますが、万年筆の醍醐味といえば様々なメーカーから販売されているインクで自分好みの色合いを楽しむことです。
パイロット社からも色彩雫という素晴らしい色合いのインクがシリーズとして発売されており、この色彩雫だけでも24色の色合いが楽しめます。また、基本的には同じメーカーのインクを使用することを推奨されていますが、他のメーカーのインクも普通に使えますので、とにかく膨大な色の中から好みのインクを選ぶことが出来るのです。
ちなみに万年筆界隈にはインク沼という言葉があり、インクにハマっていった方の事をインク沼にハマると言います。お気をつけください。
kakunoには専用のコンバーターが別売りで販売されており、コンバーターをつける事で様々なインクを楽しむことが可能です。製品型番でCON-40というコンバーターがkakunoに適合します。
取り付けは簡単。
首と軸を取り外して、
コンバーターを差し込むだけ。差し込んだら軸を元に戻せばコンバーターで好きなインクを楽しめる万年筆の完成です。
せっかくなので、パイロットから発売されている色彩雫シリーズのインクを飲ませてみます。
左から順に朝顔(青系)・秋桜(赤系)・深緑(緑系)です。
透明軸だけあって、何色のインクが入っているかが分かりますね。色が分かるだけでなく、とても綺麗です^^
ニブのサイズは3種類。カクノの書き味は?
カクノはEF(極細)、F(細字)、M(中字)と3種類の字幅が発売されており、それぞれの筆記線の太さは上の写真の様になります。一番細いEFでジェットストリームの0.7mm程度の太さだと考えるとイメージがつきやすいかもしれません。
なお、他のブランドの万年筆はEF、F、Mでかなりの字幅の差が出ますが、カクノはそこまでの差は出ません。少しずつ文字の細さが異なってくる程度です。
ペン先は強い筆圧をかけても大丈夫なスチールペン先で作られてますが、筆圧の強弱によって多少ペン先がしなりますので、万年筆ならではの独特の書き味・筆跡を楽しめます。
字幅ごとの筆記感は大きく異なり、EF(極細字):カリカリ、F(細字):シャリシャリ、M(中字):サリサリという感じで、細ければ細いほどシャープな書き心地、太い文字になると滑らかな書き心地が楽しめます。
また、インクフローは素晴らしくどの字幅でもスムーズにインクが出てきます。
一般的に字幅が細ければ細いほど高速筆記時にフローが追いつかず、文字がカスれてしまうケースがあるのですが、kakunoの極細字は筆記速度を上げても良い感じでフローが付いてきます。
初心者に優しい三角グリップ
kakunoのボディは鉛筆と同じ六角形で、グリップは筆記時に親指、人差し指、中指が自然に正しい位置に収まるなだらかな三角形になっています。三角形のくぼんだ部分に指を添えるだけで、自然と正しい持ち方が出来るのは初めて万年筆を持つ方にとって親切な配慮がされていますね。
持ち方や筆記角度が悪いとインクが出づらくなってしまいます。持ち方が悪いと他の万年筆を購入したとしても万年筆の性能を出すことができませんので、kakunoで万年筆の正しい持ち方を覚えちゃいましょう。
デコカクノを楽しむ
最後に巷で流行っているデコカクノを紹介します。
デコカクノとは、カクノをデコレーションすることでオリジナリティ溢れた自分だけのカクノを作ってしまうことです。
写真に掲載されている万年筆は全て透明カクノから作られており、こういったカスタマイズする楽しみ方も。
素晴らしいですね。
以上、カクノのレビュー・紹介とさせていただきます。
2 件のコメント
試し書きされているノートの字幅は何mmでしょうか
藤田さん、コメントありがとうございます。
だいぶ前に筆記したものなので具体的にどのノートに書いたか覚えてませんが、7mm or 8mmだと思います^^;