デルガードやオレンズ、オレーヌなどと並び、パイロット社から発売されたモーグルエアーによってさらに加速している芯の折れないシャープペン市場。
各社特徴のある芯の折れないシャープペンを開発してきており、私たちユーザーにとっては嬉しい限りですね。シャープペンを使っていて1番ストレスが溜まるのが芯が折れたとき。折れる頻度は筆圧の強弱やシャープペンの持ち方によって人それぞれですが、折れて良いことは1つもありません。
折れないシャープペンというのは、筆記の際に芯が折れてしまうというアクシデントから守ってくれる機能を持ったシャープペンです。
一口に折れないシャーペンと言っても、「筆圧や角度に合わせてサスペンションが効く」、「パイプから芯を出さない」、「芯タンク内の芯に衝撃が伝わりにくい」など、芯が折れない為のメカニズムは各メーカーそれぞれが違う手法で開発していますが、書きやすさと折れにくさを兼ね備えたシャープペンはどれかを検証してみました。
折れないシャープペン比較
今回の検証で使用した折れないシャープペンは、デルガード、オレンズ、オレーヌ、モーグルエアー、クルトガ、コンセプションの6種類。芯径は、デルガード 0.3mm・0.5mm・0.7mm、オレンズ 0.2mmと0.3mm、その為は全て0.5mmとなります。
他にも一般的なシャープペンと比較するとどうなのかといったところも気になりましたので、Pentel e-sharp(懐かしい。笑)0.5mmという比較的折れやすいシャープペン、パイロット S20 0.5mm、ロットリング500 0.35mmとも比較致しました。
今回の比較検証の内容は、私の力では強めの筆圧で北海道から沖縄までの都道府県を書き、何回芯が折れるか・それと書き心地はどうか(個人的な感覚)を比較しています。
今回使用した折れないシャープペンについて
まずはそれぞれの芯の折れない系シャープぺんの特徴をお話しいたします。
ゼブラデルガード
筆記中のあらゆる角度のどんなに強い筆圧からも折れないように芯を守ります。
紙面に対し垂直に強い筆圧が加わると、軸に内蔵されたスプリングが芯を上方向に逃し折れを防ぎます。
斜めに強い筆圧が加わると、先端の金属部品が自動で出てきて芯を包み込みガードします。
その二つの機構が、加わる力の角度や強さに合わせて自動で配分を調整して作動します。
ぺんてるオレンズ
先端のガイドパイプから芯を出さずに筆記するタイプのシャープペン。
オレンズがなぜガイドパイプから芯を出さずに筆記出来るのかというと、一般的なシャーペンであれば芯を出していない状態で文字を書こうとすると、ガイドパイプの先が尖っているので紙に対して引っかかり、スムーズに滑らせることはできません。しかしオレンズはガイドパイプの先がボールペンのように滑らかなので、芯を出さずにスルスルと書けるというわけです。
それと筆記中、芯が減っていくと同時にガイドパイプもスライドし短くなっていく事で長く書き続ける事が可能です。※パイプが短くなったらノックを1回すれば元のガイドパイプの長さに戻りますので慣れると楽です^^
プラチナ オ・レーヌ
落下などの衝撃や過度の筆圧による芯折れを防ぐ「耐芯構造」を採用したシャープペン。
一般的なシャープペンは、先端のパーツと芯を繰り出すパーツの2つのみで芯を支えていますが、オ・レーヌは4つのパーツと3つの面で芯の周囲のすき間を埋めて、芯折れが起こるのを防ぐ仕組み。
また垂直の筆圧に対しては内部のスプリングで芯がスライドし、クッションのように筆圧を吸収して芯が折れるのを防ぐセーフティスライド機構も備えています。
感覚的にはデルガードに似ている構造ですが、芯の周囲を強化することで折れにくさを実現している正統派の折れない系シャープペンですね。
モーグルエアー
強い筆圧がかかるとペン先がモグって折れないシャープペンシル。
強い筆圧がかかるとボディ内部のスプリングによって、ペン先の機構が上に向かってスライドする「アクティブサスペンション」で、筆圧を吸収します。
また、アクティブサスペンション機構により、書き出し時にペン先がモグることで、衝撃を50%吸収し軽快な書き心地を実現できることがアピールポイントとなっています。
クルトガ パイプスライドモデル
クルトガは折れないをウリとしているシャープペンではありませんが、パイプスライドモデルは芯の減りに合わせてガイドパイプがスライドする動きを取ります。
ガイドパイプから芯がほとんど出ていない状態でも筆記する事ができますので、折れない系のカテゴリに入れております。
OHTO CONCEPTION(コンセプション)
最後にオートから発売されているコンセプション。
折れない仕組みはオレンズと同じでガイドパイプから芯を出さずに筆記する事で折れを防ぎます。
オレンズが0.2mmと0.3mmの2種類の芯径に対して、オートコンセプションは0.3mmと0.5mmの芯径。
オレンズの使い心地を0.5mmで使用したい方にオススメですね。
他にも製図用モードに切り替えたり、出芯の長さを調整できる機能も付いています。
折れないシャープペンの折れない検証
上記写真のように各シャープペンで都道府県を書き続けること約1時間半。普段より筆圧を強めにして書き続けると、本当に疲れますね。苦笑
折れない実験を行った結果としては、やはり折れないをウリにしているシャープペンは芯が折れる事はほとんどありませんでした。
- デルガード0.3mm 0回
- デルガード0.5mm 0回
- デルガード0.7mm 0回
- オレンズ0.2mm 0回
- オレンズ0.3mm 0回
- オ・レーヌ0.5mm 1回
- クルトガ0.5mm 0回
- モーグルエアー0.5mm 1回
- コンセプション0.5mm 0回
オ・レーヌとモーグルエアーにて1度ずつ折れが生じていますが、こちらは筆記中に斜めから強い力が入ってしまったときにポキっと行きました。
とは言っても全てのシャープペン、折れそうな不安は一切感じる事なく安心して書き続ける事ができました。
ちなみに参考としてテストした折れない機能がついていないシャープペンの結果。
- Pentel e-sharp 0.5mm 6回
- S20 0.5mm 1回
- ロットリング500 0.35mm 5回
e-sharp に関しては、他の折れない系シャープペンで筆記した時と同じ筆圧で書いた時、折れやすくて不安定という結果になりました。
検証前から想定していた事ですが、このポキポキ折れるのが続くとストレス溜まりますよね。
まあ100円のシャープペンなので仕方がないかと。
ロットリング500 0.35mm も5回の折れがありましたが、0.3mm芯で強い筆圧で書き続けるのは正直不利な検証ですので想定通りの結果なのかなと感じます。
逆にすごいなと感じたのがS20。
折れない系シャープペンではないのに関わらず折れた回数は1回のみ。
安定した筆記を続けることができました。
折れない機能つきシャープペンランキング
それでは今回書き比べた折れない機能付きシャープペンのランキングをまとめます。
第1位:オレンズ
オレンズはガイドパイプで芯をカバーして筆記ができる為、0.2mmでも0.3mmでも折れるといった感じは一切ありません。
使い慣れるまでには少し時間が必要で、使い始めた頃は芯の太さとガイドパイプの太さ(若干の差)の違いによる違和感を感じました。
使い慣れると上記の違和感は無くなって、細い文字を折れる不安なく力強く書き続けられる素晴らしいシャープペンだと感じます。
また、オレンズには商品のバリエーションも多く好みに合わせてチョイスできるのも◯ですね。
第2位:デルガード
デルガードは一定の圧力がかかるまでは折れない機能によってパイプ周りが動く事はなく、普通のシャープペンと同じような安定した書き心地が得られます。そして一定以上の圧力がかかった時に芯を守る為の機能が働きますので、ストレスなく書き続けられるといった感じを受けます。
さすが折れないシャープペンの王道ですね。
0.3mm・0.5mm・0.7mmを比較すると、芯径が細くなるにつれて芯を守る機能が作動するタイミングが早いように感じます。0.3mmだと0.5mmや0.7mmよりも弱い筆圧でも常にパイプ周りが動いているという印象を受ける為、筆記時の安定感は0.5mm・0.7mmに軍配が上がります。逆に0.7mmは強い筆圧にならないと機能は作動しませんが、0.7mmはどのシャープペンでもあまり折れる事はありませんので、0.7mmならデルガードを使う必要は無いのでは?という感じもします。
デルガードは商品のバリエーションが多い為、様々な選択肢があるのも良いですね。
第3位:オート コンセプション
コンセプションは0.3mmと0.5mmの2種類が販売されている中で、私は0.5mmのみ保有しておりますが、0.5mm版のオレンズといったイメージが強いシャープペンです。
芯がパイプに隠れている中で筆記する為折れる不安は一切なく書き続けられます。
また、製図用モードに切り替えられる仕組みを持つシャープペンだけあって、シャープペン本体の作りもしっかりしており書きやすいですね。
一つだけ違和感を感じるのが、芯径0.5mmに対してのガイドパイプである為、0.2mmや0.3mmのオレンズと比べると太いガイドパイプで筆記する事。
慣れるまではガイドパイプを紙に当てて筆記する事に違和感を感じるかもしれませんが、オレンズ同様慣れてしまえば気にならない事ですので、高い評価を付けさせていただきました。
第4位:オ・レーヌ
デルガードやオレンズと比べると目立った機能ではありませんが、普通のシャープペンを使っている感覚とほとんど変わらない使用感で折れずに筆記し続けられるのは素晴らしいと感じました。
斜めからの圧力に対しては少し弱い気がしますが、普通に筆記していて問題になるレベルではありません。
個人的に不服なのは、1000円前後の高級モデルも発売されているのにあまり文房具屋の店頭に並んでいない事。せっかく素晴らしいシャープペンなのですから、もう少しプラチナ万年筆さんもPRの仕方を工夫して欲しいかなと。
第5位:モーグルエアー
モーグルエアーは筆圧をかけると芯が潜る事で芯が折れない仕組みを実現しており、またそれがクッションとなって筆記時の衝撃をカットすることをウリとしていますが、逆にそのクッション性が筆記時のグラつきに感じられてしまい正直なところ書きづらさを感じます。
同じタイプのデルガード(0.5mm)と比較すると弱い筆圧でも芯が潜り始める傾向にある為、クルトガのように筆記時にペン先が動く仕組みに慣れている方であればストレスなく使えるかと感じますが、ペン先が固定された普通のシャープペンを主で利用されている方には違和感を感じるシャープペンだと感じます。
第6位:クルトガパイプスライドモデル
クルトガパイプスライドモデルは芯の折れにくさ、長く筆記し続けられるというところに利点を感じられます。
筆記している際は芯はほぼパイプの中に隠れていますので、芯が折れる事はありませんが、クルトガ独自の芯が回転する機能(筆記時に芯がちょっとだけ沈む)が書きづらさを感じます。
これまでクルトガでの筆記慣れしており、クルトガに対して折れない機能を加えたい方にはオススメできますが、そうでない方には選択肢に入れづらいシャープペンかなと感じます。
まとめ
かなり個人的な主観の入ったランキングになってしまいましたが如何でしたでしょうか。
オレンズとデルガードのどちらを1位にするかをかなり悩みまして、オレンズを1位を選んだ理由は総合力の差で選びました。
デルガードは、0.5mmは個人的に最高に素晴らしいのですが、0.3mmと0.7mmは正直微妙。オレンズは0.2mmも0.3mmも安定して素晴らしいんですよね。
もしオレンズに0.5mmが登場して、デルガードの0.5mm vs オレンズ0.5mm だったらどちらを選ぶか微妙なところですが、現在のバリエーションの中ではオレンズに軍配が上がるかと感じました。
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