プラチナ万年筆より同社の製図用シャープペンPRO-USEシリーズの最新作であるPRO-USE171(プロユース171)が発売されました。
プロユース171は、製図用シャープペンを一般筆記用として使用する方が増えている中で、製図用シャープペンならではの良さ(ペン先の見やすさ・滑りにくいグリップ・低重心設計による安定感)を維持しつつ、逆に課題となる部分を解消していくと言ったコンセプトで開発されたシャープペンかなと私は解釈しています。
プロユース171レビュー
特徴
プロユース171の特徴としてまず挙げられるのが、筆記感を自分好みにカスタマイズできる「シュノークシステム」を搭載している事。
この辺りはプラチナ万年筆のウェブサイトや様々な記事で紹介されておりますが、シュノークシステムの機能としては2つあり、1つ目は「芯パイプ(ガイドパイプ)の長さを調節できる機能」、2つ目は「芯のクッションの on・offを切り替えるセーフティスライド機能」です。
芯パイプの長さを調節できる機能
一つ目ですが、口金部分が回転する仕組みになっています。グリップを片手で持ちながら口金を回転させると口金部分がガイドパイプ側にスライドしていき、ガイドパイプの長さを調整することが可能です。
こちらが調整イメージ。上の写真ではガイドパイプの長さが統一されていますが、調整後の下の写真ではパイプの長さが全て異なっています。※写真は4段階ですが好きな位置で調整できます。
長めが好きな方もいれば短めが好きな方もいらっしゃいますので、好みに合わせて調整できるのはありがたい機能。ただし一度好みの位置に調整した後に調整を繰り返すかどうかというと微妙なところ。私の場合は、最大に長くした状態で今後ずっと使っていくと想定しています。
それと100%引っ込めた状態で筆記する事はないかな。視野的に芯の位置が見えなくなりますし、芯を見える状態まで芯を出すと折れやすくなりますので。
普段使わないときに、パイプを収納して保護する用途としてはアリかもしれませんね。
芯のクッションの切り替え
二つ目は芯のクッションをONにするかOFFにするかの切り替え機能(セーフティスライド機能)です。
プラチナ万年筆の折れない系シャープペンであるオレーヌシリーズを使った事のある方でしたらイメージしやすいのですが、セーフティスライド機能は縦の筆圧に強い力を発揮する折れない仕組み。
今回のプロユース171では製図用シャープペンがベースでありつつも、セーフティスライド機能をONにする事で折れない系シャープペンとしての機能も発揮します。
他の引っ込み系折れないシャープペンであるデルガードやモーグルエアーと比較すると、プラチナ万年筆のセーフティスライド機能はぐらつく事がほとんどありません。
基本的には縦に強い圧力がかかった時のみ引っ込む機能となりますので、常にクッションで守ってくれる機能とは異なり普段はカッチリとした書き味です。
言い換えると縦の圧力には強いけど斜めからの筆圧にはさほど強いとは言えません。
これをどう取るかは使い手次第ですが、折れない系はありがたいけどグラつきが嫌だと言う方にはお勧めできる仕組みです。
個人的にはこのセーフティスライド機能くらいの動きが好きですので、ONの状態で使い続けます。
改めてプロユース171の機能を纏めると以下のイメージです。
私は当面、芯パイプの長さは最大(最長)の状態、セーフティスライド機能はONの状態で今後使っていく予定です。
芯パイプ(ガイドパイプ)が長い
プロユース171を使用してみて印象に残った事は、ガイドパイプを最大まで出した時の長さが一般的な製図用シャープペンよりも長い事。
一般的な製図用シャープペンのガイドパイプは4mmがほとんどですが、プロユース171はおおよそ4.7mmあります。
最大のおおよそ4.7mmまで芯ガイドを出して実際に筆記してみると、視界はかなり広く新鮮な感じがします。この長さが書き心地が良いに繋がるかどうかはもう少し使ってみないと判断出来ませんが。
現時点での感想としては、0.7mmや0.9mmなど太めのプロユース171は芯ガイドが長くても全く問題なしで、0.5mmもさほど違和感を感じませんでしたが、0.3mmに関しては筆記していて妙な緊張が走ります。
まあ0.3mmに関しては最近ずっとオレンズネロを使用していたので、芯を出して書くという行為に対して緊張が走っているとも言えますけどね。
オレンズ系のシャープペンは筆圧が高くても全く問題なくかけますが、プロユース171の0.3mmは芯が細い上に紙面までの距離が遠い為、折れそうな不安を感じますし、オレンズ慣れした感覚で筆記すると実際によく折れます。
芯を出さないで書くという行為に違和感を感じていた時期もあったのに、最近では芯を出す事が緊張するだなんて慣れってホント怖いです。笑
逆に芯の太めの171は、そういった心配や不安もなく安定して筆記できる感覚ですね。
質感・バランス・グリップなど
購入前にウェブで見た印象と実際に手に取ってみた感じを比較すると、圧倒的に手に取った際の方が質感が高く重厚感を感じます。
重厚感のある写真が撮れなくて申し訳ございませんが、想像以上にガッチリしています。グリップがローレット、ボディは樹脂での作りですが安っぽさは無くしっかりした作りだなと感じました。
重心に関してはグリップ部分とボディ部分の素材が異なり金属部分が圧倒的に重たい為、かなり低い位置にあります。
他の製図用シャープペンと並べてみました。一番下がプロユース171ですが、製図用シャープペンの中でもかなり低重心よりですね。
重心が低い事でより安定した書き心地が期待できますが、逆に自由度は少なくなります。精密なものを書く製図用途としてはこのくらいの重心が良いですが、一般筆記用途であればもう少し上の重心の方が書き手の意志通りに動かせるのではと感じます。
グリップ部分のローレットのザラつきは見た目ほど強くありません。ザラつきの強いローレットグリップは使い手によって長時間筆記していると薬指が痛くなってしまうケースもありますが、プロユース171は長く握っていてもそこまで痛くなることはなさそうです。※もちろん個人差はあります。
少なくともステッドラー925 25やロットリングのローレットよりは優しいです。
プロユース171の分解写真。分解してみて解ったのですが、171の作り上ガイドパイプが口金の裏にさらに隠れています。
目視で測ってみたところ、7.4mmくらいありますかね。
目が悪いせいもあり、ここまで細かいものは写真を取ってからじゃないとちゃんと見る事ができません。苦
ちなみにプロユース171の場合、分解した状態でもシャープペンとしての機能は問題なく使えますので、口金は付けずにグリップ部分のみ戻した形にカスタマイズしてみました。
7.4mmの超ロングなガイドパイプシャープペンの完成です^^
この状態でも安定性の問題はなさそうですし、セーフティスライド機能もしっかり使えました。
筆記感の良し悪しはこれから書き込んでみないと判断できませんが、上の方で述べた4.7mmガイドパイプ以上に新鮮。笑
一般的に製図用シャープペンのガイドパイプは4mmという定説みたいなものがありますが、4mm以上のガイドパイプだとどうなの?という部分について当面確かめてみたいと思います。
やっぱり4mmくらいがちょうど良いよねというところに落ち着く可能性は大いにありますが。
気になったところ
全般的に良い感じですし、他のシャープペンとは違った面白みのあるプロユースですが、一点気になった部分もあります。
写真を見ていただくとなんとなく分かるかと思いますが、樹脂のボディ部分(クリップの上)にちょっとした出っ張りが見えます。※バリという表現が正しいのかな?
手前の0.3mmのプロユース171だけでなく、全ての171がこういった状態になっています。
私は店頭で購入したので個体差の問題かと思い綺麗なものを探してみましたが、残念ながら販売されていた全てのプロユース171が同じ状態でした。
他の樹脂軸のシャープペンでこういった症状に気付くことは少ないので、この部分に関しては少し残念かなと感じます。
最後に
最後に気になった部分も書きましたが、バリの問題に関しては全体的に見たら小さな問題で、今後じっくりと使っていきたいシャープペンであることは間違いありません。
シュノークシステムというプロユース171に搭載された機能面はあまり響かなかったのですが、低重心でガッチリとしたボディ・筆記感は好きな部類ですし、他の製図用シャープペンでは味わえない面白さがあります。
長いガイドパイプも使っていく中でどういう個人的評価になるのかも楽しみです。
3 件のコメント
今日そのシャーペンを買いました。私は、ガイドパイプ無しのクッション無し0.5で使う予定です。ステッドラーの2mmシャーペンも今日買う予定なので使い分けて行きたいと思います。ただ、ケリーを使わなくなるのが勿体無いですw
文具オタク新入りさん、コメントありがとうございます!
171はユーザーによって好みの使い分けができるのがありがたいですよね^^
ステッドッラーの2mmもご購入予定ですか!
私も2mm芯のシャープペン(芯ホルダー)は何本か保有していますが、これはこれで使い勝手が良いです。
ケリーも眠らせるのが勿体無いですので、ぜひ気分に合わせて使い分けてあげてください!笑
分解の仕方を説明してくれませんか?
お願いします