セーラー万年筆から発売されている、「ふでdeまんねん」という特殊ペン先の付いた万年筆をご存知でしょうか?
私は「ふでdeまんねん」というネーミングを初めて聞いた時、そのネーミングセンスに白目になりかけました。
傍から見たらこんな感じの表情してたかと思います。
(*꒪⌓꒪)
だって、ぶっちゃけかっこ悪いですもん。
ふでdeまんねんを知ったのは、万年筆に興味を持ち始めてまもない頃でしたので、このネーミングがまかり通る万年筆業界ってすげーなって思ったものです。
さて、このふでdeまんねんという万年筆。
すごいのはネーミングだけでなく書き味もとにかく個性的。ふでdeまんねんでしか表現することのできない唯一無二の筆跡が残せます。
独特の文字表現やインク遊びなど、万年筆で遊びたい方にはぜひお勧めしたい万年筆ですので紹介させていただきます。
セーラー万年筆ふでdeまんねんレビュー
まず、ふでdeまんねんを語るのに外せないのが、写真の通り上に反り返った独特のペン先。万年筆を床に落として折れ曲がってしまったような形状をしていますから、知らない人が見れば不良品を摑まされたと思われても仕方ありませんよね。
実はふでdeまんねんのペン先は、セーラー万年筆の特殊ペン先と言われるシリーズの一つで、意図的にこの形状のペン先を作ることによって、ふでdeまんねんならではの筆跡を残せるように作られているのです。
ちなみにふでdeまんねんには、金ペン仕様のふでDEまんねんと、鉄ペン仕様のプロフィットふでDEまんねんがあります。金ペン仕様のものは長刀タイプとなり正式名称は「長刀ふでDEまんねん」となります。
なお、金ペンタイプの長刀ふでdeまんねんは、以前は30,000円前後で購入できたのですが、2019年に大幅な価格改定が入り、現在は税抜き55,000円と可愛げの無い値段となってしまいました。私の保有している長刀ふでdeまんねんは価格改定前のタイプです。
鉄ペンタイプのふでdeまんねん(緑色の軸)は定価1,000円です。
名前の由来と特徴
「ふでDEまんねん」という万年筆は筆の扱いが苦手な方でも、特殊なペン先によって簡単に筆文字が書けるように開発された万年筆です。
ペン先を立てるとより細い筆記線に、ペン先を寝かせるとより太い筆記線が書けますので、筆記角度により文字の太さを自由に変える事が出来ます。
一般的な毛筆と比べると、筆のような筆圧の強弱で筆跡がぶれてしまう事がなく、その上でふでdeまんねんでしか書けない筆跡がありますのでセーラー万年筆の人気商品になっています。
実際の筆跡
こちらの写真が実際のふでdeまんねんで筆記した文字です。
上段がペン先を寝かして書いた文字、中段がペン先をたてて書いた文字、そして下段はペン先を反対にして書いた文字です。※金ペン仕様の長刀ふでdeまんねんは、ペン先を反対にしてもインクフロー良く細字が筆記できます。(鉄ペン仕様のものはちょっと厳しい気がします)
具体的なイメージで見ると下の写真のような筆記角度で書いてます。
太い文字を書く時は、折れ曲がったペン先の面を紙面に水平に当てる様に書く
細い字を書く時はペン先を立てて、ペン先が紙面に当たる部分を小さくして書く
極細文字を書く時はペン先を裏返しにして書く。
一つの万年筆でここまで字幅の差を付けられるのは面白いですよね。
とは言いつつ、普段使っていく中であまりペン先の角度を変えることはなく、ふでdeまんねんを使用している時は一番持ちやすい筆記角度(一番上の筆跡)で書く事がほとんどで、今回はブログでの性能紹介のために角度を立てて筆記しています。
続いて、本当に筆で書いたような文字が書けるのかどうか。
上段が、ふでdeまんねんで筆記した筆跡、下段は一般的な極太の万年筆で筆記した文字です。
ふでdeまんねんの方が、止め跳ね払いがしっかりと表現できていますね。(個人的に右下への払いが苦手でうまく払えていませんが、そこは暖かい目で見てください)
ラインナップごとの違い
さて、ふでdeまんねんは上で記載した通り金ペン仕様のものと鉄ペン仕様のものがありますが、さらに詳しく書くと鉄ペン仕様のタイプには40度の角度のものと55度の角度のものの2種類が発売されています。
55度タイプのふでdeまんねん
40度タイプのふでdeまんねん
この40度と55度の違いは、通常筆記時の筆記角度によってチョイスします。私が保有している鉄ペンタイプのふでdeまんねんは55度のものですが、一般的な書き手の筆記角度は45〜60度ですから、大半の方は55度のタイプで大丈夫です。
極端にペンを寝かして書くタイプの方は40度の方を選んでみるのも良いかもしれません。
寝かして筆記する方が55度を使用すると、ペン先がきちんと紙面に当たらないため、上の写真の様にきちんとインクが出ません。
きちんと角度を合わせる事で、ふでdeまんねんならではの筆跡を残せます。
なお、金ペンの長刀ふでdeまんねんの方には40度とか55度といった角度のバリエーションはありませんが、長刀ふでdeまんねんの方が、ペン先の形状が柔らかい角度で曲がっている事によって、筆記角度のズレを吸収してくれている様に感じます。
左が長刀ふでdeまんねん、右が鉄ペンタイプのふでdeまんねん。
その他のラインナップとしては、今回紹介した「長刀ふでdeまんねん」と鉄ペンの「ふでdeまんねん」の他に、「プロフィット ふでDEまんねん」(定価2,000円)もあります。
1000タイプと比べると、ペン先は鉄ペンタイプで55度のペン先がついていますが、プロフィットのボディにふでdeまんねんのペン先が付いてますので、まずふでdeまんねんがどういった万年筆なのかを知るにはお勧めです。
まとめ
ふでdeまんねんは、特殊な文字を筆記できるものの使用頻度が高いかというとそうでもありません。普段は一般的なペン先の万年筆を使用し、筆の様な文字を書きたい時だけ使うイメージですね。また、圧倒的に太い筆記線となりますので、インク遊びにも重宝します。
なお、金ペンタイプの長刀ふでdeまんねんは指定の取扱店以外では販売されていません。非常に高額になりますから、まずは鉄ペンタイプのふでdeまんねんを試した上で使用頻度等を考慮して長く使っていけるのであれば検討するのが良いかと思います。