ファーバーカステル 伯爵コレクション アネロ グラナディラ & スネークウッドをレビュー

ファーバーカステル伯爵コレクション 万年筆レビュー

美しいデザイン、希少な素材、書き味、個々のスペックで見たときに魅力的な万年筆は数多くありますが、その全てが整っていると感じられる万年筆とはそう出会えません。

私がファーバーカステル伯爵コレクションと出会ったのは何年も前ですが、初めて見たとき、伯爵シリーズならではの「とがっている感」というか、「圧倒的な美しさの中にある紳士的で個性的な佇まいと、このシリーズならではの貫禄」に目を引かれました。

しかし伯爵コレクションは、当時の私にとっては高嶺の花。自分なんかが手に取るレベルの万年筆ではないと素通りし続けてきました。

そう感じていた頃と今とで何が変わったのかはよく分かりませんが、気づけば我が家にも2本の伯爵様が。伯爵コレクションのクラシックラインで、写真の左が「スネークウッド」、右が「アネロ グラナディラ」という名前。どちらも希少な木材を使ったタイプです。

当時と比べて収入レベルでは対した変化はありませんので、万年筆に対して支払うお金の価値観が変わってしまったのでしょう。

万年筆沼に浸かってない頃は、1万円の万年筆を購入するのにもその高額さにドキドキしていたのに、いつの間にか1万円の安い万年筆の部類に入ってしまってますもんね。

その代わりに800円を超えるランチが高く感じるようになり、できれば500円以下で済ませられるランチを探し歩き、さらにはカップラーメンやコッペパン一つで空腹を耐え凌ぐのですから、正直どうかしていると思います。

私は料理をしませんが、万年筆沼にハマって「もやし料理」が圧倒的に上手になったなんて話も聞いた事があります。

話がズレましたが、私にとっての伯爵シリーズは、デザイン・素材・書き味全てが高いレベルで仕上がった極上の万年筆です。

ファーバーカステル 伯爵コレクションとは


ファーバーカステル社は、1761年ドイツ・ニュルンベルク郊外で創業した250年以上も前から現存する世界最古の筆記具ブランド。

4代目の当主ローター・フォン・ファーバーの功績から、1881年にバイエルン王国から男爵の爵位を授与され後に伯爵家となります。

伯爵コレクションというのはファーバーカステルの最高級筆記具ラインで、このコレクションが登場したのは、ローター・フォン・ファーバーの時代に作られた銀製のペンシルエクステンダーがトリガーになっています。

そのペンシルエクステンダーに感銘を受けた8代目のアントン・ヴォルフガング・フォン・ファーバーカステル伯爵が、時を超えて愛される製品を世に送り出したいという想いから1993年に伯爵コレクションの第1号としてペンシルエクステンダーを製品化しました。

2003年からは希少な高級素材を使い、熟練工による職人技を駆使したペン・オブ・ザ・イヤー(年間限定生産品)の発売がスタート、2014年からはコンセプトを希少素材から歴史的な人物や建造物に変えた年間限定生産品が発売されています。

現在は9代目チャールズ・フォン・ファーバーカステル伯爵が当主となっており、女性が手に取りやすい高級筆記具として、カラフルでデスクコーディネイトがしやすい「ギロシェ カラーズ」シリーズの展開がスタートしました。

なお、全ての伯爵コレクションには、ファーバーカステル家の紋章が刻印されています。

伯爵コレクションの魅力

希少素材を熟成させる楽しみ


私にとっての伯爵コレクションの魅力は、希少な素材を使っているタイプのものが多い事。保有する2本もグラナディラとスネークウッドという希少な木材を使ったものです。

グラナディラ


グラナディラは別名アフリカン・ブラックウッド(アフリカ黒檀)と呼ばれ、極めて重硬で、加工は困難な素材です。音の響きが良くオーボエやクラリネットなどの木管楽器に使われる事で有名な木材です。

スネークウッド


スネークウッドはクワ科の植物で、蛇の皮の模様に似ていることから、「スネークウッド」と呼ばれており、木目の美しさから「木のダイヤ」「木の宝石」などとも言われます。非常に硬く、水に浮かべようとすると沈んでしまうほど比重があります。年間で5本分しか市場に出回らない程の少ない流通量と、木材としてとても希少で、最高級とされている木材なのです。

そしてスネークウッドは特にオイリーさを感じます。

木軸万年筆を使う楽しみは、木材の温もりを感じながら使う事ができる事。それとともに木のエイジング・熟成の過程を楽しむ事ですが、伯爵シリーズはこういった希少な木材をベースに作られたものが多く、希少価値のある素材を熟成させていくという楽しみは他でなかなか味わうことはできません。

気品のあるデザインと機能性の調和


伯爵自身のアイディアから誕生する伯爵コレクションは、250年という長い歴史の中で培われた品格に加え、厳選された素材・そして機能が高い調和を成しています。

このシリーズを見てまず目に入るのが特徴的なキャップ。

金属製のキャップはトップに向かって広がるデザインと、雰囲気のあるクリップがまた美しいですね。

このクリップのバネ感も素晴らしく、手でクリップを広げてみるだけで細部まで拘っていることが伝わってきます。

18巻のペン先。伯爵コレクションの書き味には本当に驚かされました。
同じ18金の万年筆でも、各ブランド、各製品によって書き味は異なってきます。私自身、これまでに沢山の万年筆で筆記してきましたが、伯爵コレクションの程良い弾力に富んだ書き味は中々のもの。

私が保有しているものは細字(F)と中字(M)の2本。

それぞれ素晴らしい書き味で、意味もなく筆記し続けたくなります。

余談ですが眞踏珈琲店のコーヒーは本当に美味しいのでおすすめ。ぜひ足を運んでください。

インクはコンバーター式になっています。

気密性の高さ


伯爵コレクションを実際に使用していて驚いたのが気密性の高さ。

キャップはネジ式で、半回転ほどで開け閉めができるもの。
キャップを締める際は二段階の感触があり、一定ポイントまで閉めると、閉めていく感覚が切り替わり、しっかり閉まったかがどうかが判りやすいです。またこの感覚にすら高級感を感じさせます。

※閉めていく過程での動きは、プラチナのスリップシール機構に少し似ているかもしれません。

このキャップは非常に気密性も高く仕上がっているようで、以前インクを入れっぱなしにして1ヶ月半ほど放置してしまった事がありますが、中のインクが乾いてしまう事なく普通に使う事ができました。

こういった部分が特段アピールされることもありませんが、基本性能部分をしっかりと作り上げている事が伯爵コレクションの素晴らしさだと感じます。

まとめ


私にとっての伯爵コレクションは、特別な貴重なものでありつつも常に使い続けていたい道具。普段持ち歩くペンケースには6本の万年筆が挿さっていますが、そのうちの2本は伯爵コレクションというのが最近の構成です。

また、私が保有しているアネロ グラナディラ、スネークウッド以外にも、マカサウッドなど圧倒的なオーラを放つ魅力的なものもあります。手に入れたいと思いつつ、お値段も伯爵クラスで可愛くありません。

いつか伯爵コレクションを並べるのも私の楽しみの一つかもしれません。

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