11月19日の銀座・伊東屋システム手帳サロンではダヴィンチ(Davinci)による、「ロロマクラシックの革の魅力とシステム手帳になるまで」というお題でのトークショーが開催されており、参加させていただきました。
このトークショーでは、2部構成に分かれており、1部は「ロロマクラシックの革の魅力」ということでロロマクラシックで使われている革のタンナーである中村千之助商店の中村高志様によるトークショー。二部はロロマクラッシックの製造についてをお話いただきました。
トークショーでいただいたお話を簡単にまとめます。
ロロマクラシックシステム手帳
まず、今回のトークショーのお話をする前にダヴィンチのロロマクラシックというシステム手帳について。上の手帳がロロマクラシックとなり赤色のロロマクラシックが3つ並べられていますが、左が新品で中央・右側が使用しているロロマクラシックとなります。右側のもので使用1年程とのことです。
使い込めば使い込むほど美しい艶の出る手帳であることが分かりますね。この艶を表現するために、ダヴィンチではベースとなる革、そしてつくりに強いこだわりを持っていらっしゃいました。
ロロマクラシックの革の魅力
ロロマクラシックで使用されているロロマという革は、東京浅草で革の製造(タンナー)皮革販売業を営む中村千之助商店より仕入れられています。中村千之助商店は1920年創業と約100年も続くタンナーの老舗ブランドです。
ロロマという名前の由来は、インデアンジュエリー作家であるチャールズ・ロロマの作品からインスピレーションを受けたところから名付けられたとか。
日本産のステアハイド(成牛)をフルタンニンで2回鞣し、オイルとワックスをたっぷりと染込ませています。重厚な革で厚みもある革の為、通常のタンニン鞣しにかかる期間の1.5倍の時間をかけて仕上げています。
豊富に染み込ませたオイルとワックスにより、この革を使い磨くことによって革の中のオイルが呼びだされ、宝石のような艶が現れます。
実際に私もその場で磨かせていただいたのですが、単に磨くだけでも艶が現れて驚かされました。
以下、ロロマの革を布で磨いた画像です。
この革の左下を布で少し強めの力で擦って磨きます。
10秒ほど磨いたところ。
30秒ほど磨いたところ。
ロロマの中に含まれている油分が浮き出てきて艶になります。
今回は人工的に銀面を磨いて艶を出しましたが、普段使いの中で自然とこのような艶が出てエイジングが進んでいくのが、ロロマクラシックというシステム手帳の最大の魅力とのことです。
こちらがタンニン鞣しで使われる自然界から取れたタンニン。
左からミモサ・ケプラチョ・チェストナット・タラから取れたタンニンです。
ここで一つ面白いことを聞けたのが、これらのタンニンを混合して鞣しが行われるのですが、革の色合いによってタンニンの種類も変えているとのこと。具体的には薄い色の革にはケプラチョ・チェストナットなどの濃い色のタンニンを使うとそれだけで色が付いてしまうため、ミモサやタラなど色の少ないタンニンを使用して鞣すようです。
手帳になるまで
続いて革から手帳になるまでのお話。
普段は中々見ることのできないシステム手帳のパーツが展示されていました。
上の写真がロロマクラシックで使用されている全てのパーツだそうです。
シンプルなつくりのものが多いシステム手帳の中、ロロマクラシックはクラシックで突起の多いデザインが特徴ですが、このデザインにも艶を出す要素があるとのこと。
突起が多い事で手帳が何かに当たる機会が増え、当たった部分は艶が出やすいという事。また、一般的な革製品の縁はコバ処理しているものが多いですが、ロロマクラシックはコバ処理ではなく縁部分の革を薄くして折り返して縫う仕上げを行なっています。その為、フチ部分に関しても艶が出やすいようです。
当たりやすい突起箇所やフチ部分の艶が自然と濃くなり、クラシックな佇まいがさらに磨きがかかって素晴らしい風合いを醸し出します。
艶を出すことを意識したつくりは、ユーザーにとって大きな価値であることは間違いなく、自分だけの艶々なロロマクラシックを育て上げたい気持ちになりますね。
また、ロロマクラシックは革素材だけでなく、約14mm径のペンから細いペンまで手持ちのペンに合わせて調整できる可動式ペンホルダーや、カードや書類が収納できるスペースを設けています。
使い勝手という意味でもこだわり抜いたシステム手帳だと感じました。