万年筆を選ぶ際、万年筆は他の筆記具と比べて考慮する要素が多く金額も高いため、初めての万年筆選びはとても悩むものです。最近では安価な万年筆もありますが、本格的な万年筆をと考えると1万円前後はかかってしまいますから慎重に考えたいですよね。
せっかく万年筆をお迎えするのであれば、ぜひ自分が納得して使い続けられる万年筆を選んでいただきたいと思います。そんな万年筆を購入するためにも、最初は特に文房具屋にて試筆させてもらうことをオススメしています。
キャッチ画像は笑暮屋というブランドでエボナイトで作られた軸をベースとした万年筆。
1本保有していますが、購入する際は30分以上かけて様々な相談に乗ってもらったり、複数の軸のサイズやペン先のサイズを試筆させてもらいこれだという1本を選ばせてもらえます。
今回は文房具屋で万年筆を試筆する際のポイントについてお話をしたいと思います。
万年筆を初めて購入する際に試筆させてもらう時のポイント
初めて万年筆を購入する際は、万年筆を取り扱っている文具店さんに行って実際に試筆させてもらう事がとても大切です。私もそうでしたが、想像やネットだけの情報や筆跡画像で見ただけの万年筆と実際に筆記した時の万年筆にはそれなりのギャップがあります。
万年筆を使えば味わいのある文字が書けると思っていたとしても、実際はそこまででもないなんて感じでしまうケースもきっとあるはずで、そのギャップを埋めないと後で後悔してしまうこともあります。そういったギャップを埋めるためにもまずは万年筆を取り扱っている文具屋さんに行って実際に筆記させてもらうことをお勧めします。
万年筆を専門に扱っている文具店であれば基本的には試筆させて貰いますし、お店によっては様々な字幅の万年筆が並んでいて自由に試筆が出来るブースもあります。
お店選びのポイントとしては
- たまに試筆させてもらえない文房具屋もありますが、試筆させてもらえないショップは論外です。個人的には試筆させてもらえない文房具屋では購入しません。
- 万年筆について親身に相談に乗ってくれるアドバイザーのいらっしゃるショップが良いです。店員さんによってスキルは異なりそれを見分ける事は難しいですので、少なくとも楽しく親身になってくれるアドバイザーさんと万年筆を選びたいものです。
- ショップの大きさはあまり気にする必要はありません。大きな店舗であれば商品量が豊富で様々な万年筆から選ぶ事が出来るメリットがありますが、小さなショップや専門店にはこだわりを持って万年筆を仕入れているところも多く、また本当に万年筆が好きな店員さんが多いです。
- 理想を言えば椅子に座って試筆のできる万年筆専門店。立って筆記するときと座って筆記する時とでは筆記角度が異なってきますので、立ったまま書いたのではきちんとした試筆は出来ません。※座って試筆させてもらえるショップは非常に少ないので難しいところですが。
といったところでしょうか。
さて、試筆させてもらう際にはいくつかの気をつけるべきポイントがあります。ただ書いてみるだけでも万年筆のイメージは掴めますが、下記のポイントも考慮しつつ試筆するとより良い買い物が出来るのではないかと思います。
試筆をする際、基本的には店員さんがブースの反対側で見ている環境の中で試筆する事になります。自分が特にそうだったのですが、字が苦手だと人前で書くのが本当に恥ずかしくてイヤです。でもここは勇気を振り絞って普段書く文字を書いてみてください。書く文字はなんでも構いませんが、住所や名前、適当なひらがななど、書く頻度の高い文字を組み合わせてみましょう。
私の場合、試筆する際に以下のポイントを意識するようにしています。
普段使いの筆記具との比較
まず、普段使っている筆記具と比べてどうかを見比べることは大切です。
万年筆での筆記シーンをイメージしつつ普段使っている筆記具との字幅を確認してみてください。万年筆だけでの字幅の比較だと、これまでの普段使いでの筆記との差が見えないためこの比較は行った方が良いです。
ちなみに普段使いがオーソドックスな0.7mm程度の油性ボールペンだとすると、万年筆のほとんどの字幅でも太さを感じると思います。下の写真は一般的な油性ボールペンの字幅と万年筆(極細・細字)の字幅比較ですが、万年筆だと極細のEFでもボールペンの0.7mm相当の字幅があります。
万年筆が2本目以降の方は、1本目の万年筆との比較は必須ですね。
筆記速度を変えて書いてみる
万年筆によって、高速筆記に適したものと適さないものがあります。ゆっくり筆記した時は書きやすいけど速記しているときはそれほどではなかったり、インクが出づらくなるものもあります。(一般的には細字になればなるほどインクの出は絞られます)
店員さんの見てる前での筆記は丁寧に書こうとゆっくりになりがちになりますが(自分)、あえて速度を早めて雑な文字も書いてみてください。
書く紙を変えてみる
続いて書く紙。試筆させてもらう際、基本的には試筆専用の用紙を渡されて筆記をする事になりますが、万年筆の書き心地の要素の中に「紙」というのは重要な位置付けだったりします。何を言いたいかというと、試筆した時は書きやすかったけど、購入したあと普段使っているノートや手帳に書いてみたらなんか違ったみたいな事が必ず起こります。
紙によって書き心地は違いますし、試筆用の用紙は万年筆での筆記に最適な用紙である場合が多いです。※一度だけ新聞チラシの裏の白紙部分で試筆させられた事があります。笑
その為、普段自分が使っている紙(手帳やノート)でも試筆させてもらいましょう。※手帳のスケジュールページなどにも万年筆を検討している場合は、字幅の正確なイメージも掴めます。
筆記角度
万年筆を持つ角度は紙面に対して60度前後がベースと言われており、他の筆記具と比べて寝かして持つ筆記具です。
まあ多少意識しつつも自然体で一番書きやすい位置で書けば良いのですが、万年筆のキャップを付ける付けないで筆記時の重心バランスが変わってきます。キャップを付けると後ろ重心になる為意識しなくともペンの角度が寝かし気味になります。
キャップを付けない状態と付けた状態でもバランス的にどうか確かめてみましょう。
書き癖を教えてもらう
せっかく店員さんの前で書くのですから、書き癖を教えてもらいましょう。具体的には筆圧の強さや筆記時のペンの角度、ペンの向きです。
これも実は重要な作業で、書き癖によっては書きづらい(最悪書けない)万年筆もあります。
例えば筆圧の高い方であれば、柔らかいペン先の万年筆は書きづらさを感じるでしょうし、ペンの向きにクセがある方だと、特に太い字幅の万年筆はインクが出ないケースが生じます。
ちなみに私の場合もかぶせて書くというクセがあり、ペリカンスーベレーンのM(中字)レベルで書き方を気をつけないとインクが出ないという症状がでました。
こちら具体的にどういう事か写真でイメージできると思います。
ペリカンスーべレーンのEFのペンポイント(左)とMのペンポイント(右)
Mの方がペンポイントの幅が広いため、紙面に当たる角度がズレるとインクが出にくくなってしまいます。
こういったこともあり、私の場合は中字以上の太字を購入する際はかなり慎重になります。
個体差
最後に確認したいのが個体差。
まったく同じブランドの同じ字幅の万年筆でも個体差が少なからずあり、ものによっては非常に滑らかに書ける万年筆もあれば、引っかかりを感じたり違和感を感じたりするものです。国産メーカーの万年筆は個体差が少ないですが、海外ブランドは個体差が多いものが目立ちます。
初めての万年筆であれば手に取ったものそれが筆記感のベースになるかと思いますが、同じ万年筆でも違う個体のものを試筆させてもらうと全く異なる書き味のものも多いです。
「インクフロー(インクの出)が良い悪い」・「筆記時の引っかかりを感じる感じない」など違うケースがありますので、もしその時試筆したものの書き心地が良いと感じたとしても同じものがあるか無いかを聞いて、あったら試筆させてもらいましょう。
まとめ
以上、試筆させてもらう時のポイントをピックアップさせてもらいました。
他にも色々あるかと思いますので、気付いた時に追記いたします。
納得のいく1本が見つかると幸いです。
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