万年筆のペン先には様々な字幅やバリエーションがありますが、その中でも軟調ペン先と言われるものがあります。筆圧をかけるとペン先がしなり、強弱のある筆記線を表現できるのが軟調ペン先で、書き味に柔らかさを求める方、線に強弱をつけて味のある文字を書きたいときには軟調ペン先がお勧めです。
軟調ペン先で有名どころだと、パイロットのフォルカンとかエラボーとかが有名ですね。
このブログではこれまでに何度か、「軟調ペン先は、力が入って書き方が崩れてしまう」と言うアンチ軟調ペン先的な発言をしてきましたが、私、実はいくつかの軟調ペン先の万年筆を保有しています。
左からパイロットカスタム74SF、SFM、カスタムヘリテイジ912SF、カスタム743エラボー、プラチナセンチュリー#3776 SF、SM。海外の軟調ペン先(フレックスニブ)を入れるとカオスりますので今回は外しますが海外製もいくつか保有。
アンチ発言しましたけど、嫌いではないのですよ。どちらかといえば好きです。
ただ習字している時に軟調ペン先が乱入してくると心が乱れるのです。ここでウニっと筆圧をかけて筆記線に強弱をつけて・・・みたいな欲求が生まれ文字が乱れていくため、清書前はなるべく使わないようにしています。特に「払い」の部分では独特の筆運びがありますからね。
さて、軟調ペン先というのは言葉では特殊な雰囲気がありますが、実はカスタム74やセンチュリー#3776といったパイロット社・プラチナ社の定番ラインの万年筆でもラインナップされています。(一般的なFやMなどと同じ価格で購入ができます)
今回はカスタム74とセンチュリー#3776の軟調ペン先の中で、細軟(SF)と名付けられた「細くて柔らかいペン先」について紹介&比較をしたいと思います。軟調ペン先は、細軟だけでなく線の太い軟調ペン先もありますが、個人的には細い筆記線の中で強弱がつけられるのが好きでよく愛用しています。
パイロット細軟とプラチナ細軟の比較
書き味の違い
カスタム74のペン先とセンチュリー#3776のペン先。
いずれも細軟(SF)ですが、柔らかさの定義が違う雰囲気がありますし、もちろん柔らかさも異なります。
感覚でお伝えしますと、カスタム74は筆圧をかけていくとスッと縦にしなりつつペン先が割れていきます。同じバランスで縦にも横にも柔らかく動くイメージです。書き味も柔らかくスラスラと筆記できます。
それに対してセンチュリーは、まず縦方向にしなり、さらに筆圧をかけるとペン先が割れてくるといった印象があります。多少の筆圧だとポコポコっと上下運動するような動きで、それ以上に圧をかけるとペン先が割れる感じ。書き味もカリカリと少し硬めですので、カスタム74のSFとは全く違う書き味です。
下の写真は、上から一般的な細字(F)、カスタム74SF、センチュリーSFで筆記した文字。春夏秋冬という文字を、楷書(左)と力まなくとも自然と筆圧のかかる行書(右)で書いてみました。
軟調ではない一般的な細字と比べると、特に行書に関しては筆記線の強弱が出ていますね。
軟調ペン先を使うと、極度に線の強弱をつけたくなるのですが、力まず筆圧をかけない自然な筆記の中でも自然な強弱が出てきますのでそれをベースとした使い方が理想なのだと思います。
どちらが書きやすいかというと、筆圧が弱く、あまり強弱を意識しないのであれば、一定の筆圧まで動きの少ないセンチュリーの方が書きやすいかもしれませんが、正直感動も少ないかと思います。カスタム74のSFは「柔らかいな〜」という感触が最初から伝わってきますので、軟調を期待するのであればカスタム74をお勧めします。
サイズ比較
最後にサイズ感も乗せておきます。
上の雨垂れクリップがパイロット社のカスタム74、下がプラチナのセンチュリー#3776となりますが、ボディの長さはカスタム74の方が少し長いです。太さではセンチュリーの方が太いですね。
公開されている数値では、以下となります。
カスタム74:全長143.0mm × 最大径φ 14.7mm
センチュリー:全長139.5mm × 最大径φ15.4mm
重さはインクを入れた状態で以下となります。
カスタム74:22.5g キャップ無し14.5g
センチュリー:25.0g キャップ無し14.5g
ペン先はどちらも14金です。
カスタム74
センチュリー
バランス的に、キャップって重たいんですね。
サイズに関しては使い手の好みが強いので良し悪しはありませんが、参考にしてください。
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