セーラー万年筆から発売されている【極黒(きわぐろ)】、【青墨(せいぼく)】、【蒼墨(そうぼく)】という3種類の顔料系インクがあります。
顔料インクの特徴として、染料インクと比較すると、「耐水性に優れている」、「目詰まりが無く、筆跡がシャープで奇麗」、「にじみにくく裏抜けしにくい」、「長期保管文書に最適」といった特徴があります。
また、同じように耐水性が高く長期保存に適していると言われる古典インクと比較すると「酸化リスク」がありませんので、染料インク・古典インクの良いとこどりをしたようなインクといって良いでしょう。
ただし使用面での注意事項もあり、万年筆の中でインクが乾燥してしまうと水で流しても流れないというトラブルも生じます。
私自身、これまでに顔料インクを使用している万年筆のペン先を分解洗浄したことがありますが、ペン芯を取り外してペン先だけを水で流してもインクが流れないレベルでしたので、固まったら本当に厄介だと感じました。その為、顔料インクを使う場合は、「毎日使い続けて常に万年筆の中でインクを循環させる」とともに、「使わない時期があれば万年筆の中に残しておかない」という事が大切です。
そんな厄介なインクなのであれば使わない方が良いのでは?と感じてしまう方もいるかもしれませんが、耐水性が高いというのは筆記物を守るという面では大きなメリット。例えば年賀状や手紙を書いて送る際などは雨で濡れて文字が流れてしまうリスクがあるわけですから染料インクでは不安です。また筆記物の中には長期間残したい物もあるわけでして、そういった場合は必然的に顔料インク・古典インクをチョイスします。
セーラー万年筆 青墨・蒼墨
極黒、青墨、蒼墨と同じシリーズで、蒼墨は2018年4月に発売された後発のインクです。パッケージもインクボトルも和的な渋さがありますし、何と言っても名前が良いですね。このインクを使えば素敵な字が書けそうな気になるのは私だけではないはずです。
容量は50mlで、値段は定価2,000円(税抜き)です。
どちらもブルーブラック系(セーラーさんはブルーブラックとは言わないようです)のインクですが、青墨が少し明るめでターコイズブルーとも言える美しい色なのに対して、蒼墨はもう少しグレーよりの落ち着いた色合いです。
左側が青墨で、右側が蒼墨で書いています。
自然な濃淡で味のある文字が書けている気がしますね。10%増しくらいには見えるでしょう。(自分で言うな)
どっちがおすすめ?と聞かれると正直難しいです。どちらも素晴らしい色ですから、筆記する内容によって使い分けるのが良いかと思います。
青墨と蒼墨の耐水性について
耐水性の高いと言われている青墨と蒼墨の耐水性を確認してみましょう。
上は青墨と蒼墨で筆記したもので、すでにインクは乾いた状態です。
まずは水を垂らしてみましょう。
カフェで水をこぼしてしまったケースを想定です。
※実験しながら万年筆洗浄中
水を垂らして数分待ってみましたが、インクは全くにじみません。
普通の染料インクってどうだったかなと思い、横で染料インク(色彩雫 霧雨)も検証。
染料インクの方は滲んできましたね。
顔料インクの青墨・蒼墨の方は水道で流してもインクは流れませんでしたが、染料インクで書いた方は水で流れて文字が薄くなりました。
改めて顔料インクの耐水性の高さが伝わったと思います。
染料インクと比較して固まりやすいというデメリットはあるものの、普段から使っていれば基本問題になることはありません。性能も色も素晴らしいインクですからどんどん使っていきたいですね。
こちらも合わせてご覧ください。
極黒、カーボンインク、モンブランパーマネントブラックの3本のブラック系顔料インクの比較を行なっています。
4 件のコメント
小生の環境やら色盲やらによって、そう見えるだけかも知れませんが、
右と左か蒼か青が入れ替わっているように思います。
makiさん、コメントありがとうございます。
間違い箇所気づきました^^;
ご指摘感謝申し上げます!!