イタリアビスコンティ社のホモサピエンスという万年筆です。
万年筆本体のデザイン・軸やペン先に使われている素材・ギミック・そして書き味など、驚くほどのレベルでビスコンティ社のこだわりが詰まった1本に仕上がっています。
今回はこの万年筆、ビスコンティ ホモサピエンス ブロンズについてレビューします。
ビスコンティ ホモサピエンス ブロンズ
ほぼストレート状のボディにビスコンティならではの円形のクリップが特徴的なホモサピエンス。
ブラックボディにゴールド系の組み合わせは個人的にドツボでして、さらにはピンクゴールド系の金属(実際には青銅)の組み合わせに心をサクッと奪われました。
ホモサピエンスの特徴は、使われている素材やギミックへのこだわりです。
軸素材に溶岩、金属パーツには青銅、そしてペン先には23kのパラジウム(or 18金)を使用、さらにはパワーヒーラー式のインク吸入方式などなど、他の万年筆で見ることのない素材へのこだわりと面白いスペックを持つ万年筆。
しかもこの仕様が限定品ではなく通常のラインナップとして発売されています。さすがイタリアならではと言いますか、こんな仕様で通常ラインナップを置かないですよね。
また、素材だけでなく他では味わえない柔らかな書き味にも大変驚かされました。
具体的に見ていきましょう。
玄武溶岩を仕様したボディと青銅のパーツ
ボディにイタリアのエトナ火山で採取した玄武溶岩(イタリアではこの玄武溶岩をバサルティック ラーバと呼ばれる)が採用されています。
溶岩素材は超硬質で耐久性・耐熱性に優れる素材で、軸表面は砂の粒が肉眼でも確認できます。触った感触は他の軸素材では味わえない独特の手触り。語彙力なく表現が難しいのですが、これが溶岩か〜っていう素材感です。
硬質ゴムに近いのかな。独特だけどしっくりくる感じ。この記事を書いている現在は冬ですが、しっとりとした柔らかい温もりを感じます。また、この溶岩素材は水分を吸収していきますので、汗をかきやすい方にもおすすめかもしれませんね。※夏場暑くなってから確かめてみようと思います。
ちなみに重量は約44gあり、ずっしりとくる万年筆ですね。
金属部分には青銅が使用されています。青銅は銅を主成分にスズを含む合金で、加工性に優れているのが特徴。青銅ならではと言いますか、華美過ぎない光沢がボディに合っています。
(青銅はエイジングも期待できそうだけどホモサピエンスに使われている青銅もエイジングするのかな?溶岩ボディにエイジングがかった青銅だなんて素敵過ぎますね)
ペン先はパラジウムから18金へ仕様変更
ホモサピエンスの発売当初、ペン先は世界初となる23カラットのパラジウムが採用されていました。
このパラジウムペン先は、ビスコンティが「ドリームタッチ」と名付けるほど軟らかく心地よい筆記を実現しているようなのですが、現在発売されているホモサピエンスはパラジウムペン先ではなく18金のペン先となっています。
パラジウムの値段が上がり過ぎてしまったため、金に変更したようですね。
さて、このペン先について少しお恥ずかしい話がありまして、、
万年筆のペン先に使われている素材はペン先の表記を見れば分かるものが多いです。
ホモサピエンスの場合であれば、パラジウム23Kであれば「23k Pd 950」、18金であれば「18K 750」という表記になるのですが、私、老眼が入ってきたようで、購入時に「18K 750」表記が見えなくてパラジウムだと思って購入してしまいました。
実際に書き始めると、このペン先がとにかく柔らかくて書き心地が良くてですね、
「おお、これがパラジウムの書き味なのか。ドリームタッチなのか!ナイスドリームタッチ!!」
と一人感動しておりました。
ところがその後、ペン先の写真を撮影し拡大した際に18K 750と写っておりパラジウムではなく18金だと気づくという・・・。
店員さんもパラジウムだと思って販売されていたので、お互い歳を取るのは嫌ですねと後日笑い話になったのです。
現時点では、まだパラジウムのものが置かれている万年筆屋もあるかもしれませんので、購入時は確認した方が良いでしょう。
ちなみに私は18金ペン先の書き味が気に入ったので結果オーライとなったわけですが、パラジウムペン先の方は後から聞いた話、個体差が強いようです。
中には、「これの何がドリームタッチなんだ?」と言われるユーザーもいらっしゃるようなので気をつけた方が良いかもしれません。
ダブルタンク パワー・フィラー
さて素材だけでなくギミックにもこだわりが高いのがホモサピエンス。
ビスコンティ独自のインク吸入機構が採用されており、内部のピストンを引き上げた状態でペン先をインク瓶に浸けて、ピストンを元に戻すことで簡単にインクを吸入することができる機構です。
タンク容量も大容量で一般的な万年筆の数倍インクを長持ちさせることができます。
こんな感じでピストンを押して戻していくことでインクが注入できます。
今回はペリカンのオーソドックスなダークグリーンを飲ませてみました。値段も手頃ですし綺麗な色なので一本持っておくと便利ですよ。
キャップの外し方
ビスコンティの万年筆はキャップの外し方にも特徴があります。一般的な万年筆のような回転式ではなく、カチッとはめる・外すタイプでもありません。また他のビスコンティに多いマグネットタイプでもありません。
リングの手前(ペン先側)のキャップ嵌め込みの部分に、少し変わった窪みがあるのが見えますでしょうか。この窪みがロック式になっており、キャップを回す際に押しながらはめるというクッションを挟みます。
慣れると癖になる感触ですが、はじめてビスコンティの万年筆を触らせてもらったときは、キャップの取り外し方が分からず苦戦しました^^;
書き味
さて肝心の書き味。
どんなに素晴らしい軸でも書き味が悪ければただの棒な訳ですが、このホモサピエンスにおいて最も感動したのが、素材でもギミックでもなく書き味でした。
カテゴリでいえば柔らかいペン先です。もう少し絞ると縦に揺れるフワフワ系の柔らかさです。そして圧をかけると横にも開いていきます。
極端なフレックスではありませんが、この遊べる感覚きっと伝わりますよね。
まとめ
溶岩素材に青銅の飾り、そして様々なギミックに柔らかい書き味。
様々な万年筆を保有していますが、ビスコンティのこだわりがあり過ぎて、ここまで驚いたのは久しぶりな気がします。
普通の万年筆にでは体験できない新しい世界を覗いてみたい方、ぜひお試しください。
2 件のコメント
春夏秋冬が趣のある字で好き
水銀さん
ありがとうございます!
嬉しいです^^