社会人としてふさわしいボールペンを。
お客様にサインを求める仕事に就くのであれば、お客様に失礼のないボールペンを携帯しなさい。社会人の方であれば、その様な話を一度は聞いたことがないでしょうか。
ボールペンは単なる筆記具としてだけではなく、社会人のステータスとして、またお客様をもてなす道具としてビジネスシーンで使われることが多いもの。
モンブランのマイスターシュテュックは、そういったシーンでの筆記具として選ばれることが多い定番の高級ボールペンです。マイスターシュティックをレビューしつつ、魅力や選び方などを解説します。
目次
マイスターシュティックシリーズについて
マイスターシュテュックは1924年の誕生以来、約100年経った今でも筆記具の最高峰でありつづけるモンブラン唯一の定番コレクションです。マイスターシュテュックとはドイツで「傑作」という意味。
マイスターシュテュックが発売された当時は万年筆が主流の時代で、1949年にマイスターシュテュック146と144、1952年にマイスターシュティック149が発売され、モンブランは世界規模での大成功を収めました。この144、146、149という万年筆は、今でもモンブランの主力ラインナップであり、発売当時から基本構造はほとんど変わっていません。
ボールペンとしてのマイスターシュテュックが発売されたのは、それから時間が経ってからですが、プレシャスレジンと呼ばれる天然素材からできた手触りの良いモンブラン特有の樹脂、筆記バランスを配慮されたディティール、ジャイアントリフィルという書き味の良いインクリフィルと、ボールペンとしても高い評価を得ています。
写真はマイスターシュテュック149(万年筆)とル・グラン(ボールペン)。モンブランを代表する2本の筆記具。
マイスターシュテュックボールペンの種類
マイスターシュテュックと一括りに言っても、サイズ感によって4つに分類されます。
写真左から、ル・グラン、ミッドサイズ、クラシック、モーツァルトで、この4種類がラインナップされており、書き手の手の大きさや好みによって選ぶことが可能です。
モーツァルト | クラシック | ミッドサイズ | ル・グラン | |
全長 | 105.8mm | 137.1mm | 141.7mm | 147.9mm |
胴軸径 | 10.4mm | 12.5mm | 13.7mm | 15.5mm |
重さ | 12.4 g | 23.13g | 26g | 30.19g |
※モーツァルトは、マイスターシュテュックといえど少しコンセプトが違い、携帯用のコンパクトサイズ感になっていますので今回の説明からは外します。以下でレビューしていますので合わせてご覧ください。
【とびっきり可愛らしいモンブランのボールペン】マイスターシュテュック ホワイトソリテール モーツァルト
マイスターシュテュックの重心
マイスターシュテュックの重心バランスは、ちょうど真ん中キャップリング部分より少しペン先あたりにあります。
重心バランスは使い手の好みによるところが大きいですが、私の場合だと、ペンを握った際に、親指と人差し指で作った輪っかの中心に重心がくるペンをオーソドックスな重心バランスとし、それよりもペン先側にあるものは低重心、天冠側にあるものを高重心という感覚で見ています。
その考え方からすると、マイスターシュテュックは天冠側に重心が来るため、高重心と言えます。
万年筆の様に寝かして書く筆記具は高重心が書きやすいのですが、ボールペンはペンを立てて持つ筆記具と言われています。そのためマイスターシュテュックのような高重心になってしまうと、書きづらいのではという心配もあるかもしれません。
しかしその心配は、モンブランが自信を持って提供するインクリフィル、ジャイアントリフィルによって解消されています。
ボールペンが立てて書く道具と言われる理由とモンブランのリフィル
ボールペンのインクは、ペン先のボールが回転することで紙に転写されます。しかし、紙とボールが接しなかった箇所のインクは、再びペン先に戻る訳ですが、この時、ペン先の中に戻りきらなかったインクは、ボールと部品の端へ溜まり、ダマの原因になってしまいます。
インクダマは、直線を引く、筆圧が弱い、筆記する紙が薄い、ゆったり書くなど様々な要因によって発生しますが、ペンを寝かせて書く場合も同じです。ペンを寝かせて書くとボールと紙が接する面積も少なくなるため、ペン先に戻るインクの量が多くなり、インクが溜まり易くなるのです。
この理由から、ボールペンは紙の上でボールが回転する60°以上の筆記角度で筆記するのが理想と言われています。
さて、モンブランのジャイアントリフィルは、他のブランドのインクリフィルと比較してペンを寝かした状態でも筆記しやすいという特徴があります。寝かしてもインクが出やすいこと、また寝かして筆記してもインクのダマが出来づらいという特徴があり、他との差別化にも繋がっています。
私は普段万年筆を愛用していますが、万年筆はペンを寝かして書く筆記具。同じ様な角度でかけることは大変ありがたいことです。
もちろん筆記角度をタテ気味に書いても大丈夫ですよ。
サイズ比較・手の大きさやシーンによっておすすめは異なります
それでは各サイズの説明をいたします。
ル・グラン
マイスターシュテュックボールペンで最も大きなサイズのル・グラン。
ペンの太さとあわせ重量も約30gとそれなりの重さもありますので、手を添えるだけで力を入れなくとも筆記することが出来、長時間の筆記でも疲れづらいのが特徴です。
ゆったりと書き物をする際に適しています。
実際に手にした際のイメージを撮影しました。一般的な女性と男性が手にしたときのイメージです。
女性の方や小さめの手では、大きすぎてバランスが取りづらそうに見えますね。男性の手では程よくバランスが取れています。
ル・グランのみを使っているとシックリきますが、他のサイズのボールペンからル・グランに切り替えると太さと大きさに違和感を感じます。
なお、購入時のインクリフィルは、ル・グランのみ太字が装着されています。他は中字です。
トリムカラーはゴールド、プラチナ、レッドゴールドの3種類です。
こんなシーン・こんなタイプの方におすすめ
- 手の大きめな男性の日常シーンで
- 一般的な手の大きさの男性で、ゆったりと筆記したいシーンで
- 力を入れずペンの重さで筆記するタイプのかた
ミッドサイズ
ミッドサイズのマイスターシュテュックが販売されたのは2016年頃と比較的最近。
日本人の一般男性の手からすると、ル・グランでは大きすぎるけどクラシックサイズでは小さいという要望が多かったようで、現在3サイズの中で最も売れているのがミッドサイズと言われています。
適度なサイズと適度な重さは、実際に私の手にもジャストフィットで、仕事での携帯用、自宅での物書き用と、どんなシーンで使っても違和感なく使えるサイズバランスだと感じました。
モンブランブティックのスタッフでも、携帯しているペンはミッドサイズが多いことから、訪れたお客様に使っていただくペンとしてもミッドサイズを選ばれている事がわかります。
女性や小さめの手だと、若干大きめのサイズ感になりますので、自宅でゆったりと書き物をする際のペンとして使うか、機動力を重視するのであれば、ワンサイズ下のクラシックを選ぶのが良いでしょう。
男性がマイスターシュテュックのサイズで迷ったらミッドサイズを選べば間違いありません。
なお、ミッドサイズは現在プラチナラインのみが発売されています。
こんなシーン・こんなタイプの方におすすめ
- 一般的な手の大きさの男性の日常シーンで
- 一般的な手の大きさの女性で、ゆったりと筆記したいシーンで
- 顧客に筆記してもらうシーンの多い接客業の方
- 男性へのプレゼントで迷ったら
クラシック
クラシックはオーソドックスなマイスターシュテュックシリーズの中では最小さく、女性や手の小さな方に最も選ばれているサイズになります。
一般的な女性であれば、こちらのクラシックサイズを選べば間違いありません。
また、男性でも持ち歩きなど機動力を重視する方はクラシックを選ぶのも良いでしょう。
ミッドサイズが発売されるまでは、一般的な男性でもクラシックサイズを選ぶ方も多く、写真から見て取れる様にコンパクトサイズの携帯用ペンとしては十分に使えるサイズです。
トリムカラーはゴールド、プラチナ、レッドゴールドの3種類です。
こんな方・こんなシーンにおすすめ
- 一般的な手の大きさの女性の日常シーンで
- 手の小さめの男性の日常シーンで
- 機動力を重視するシーンで
- 女性へのプレゼントで迷ったら
まとめ
今回はモンブランの定番ラインナップであるマイスターシュテュックボールペンについてレビューしつつ選び方をお話ししました。
モンブランを保有する事が一つのステータスと言われることもありますが、私が感じるモンブランは道具としても一流であること。伝統あるクラシカルなスタイルの中に、持ちやすさ・書き味など高級ブランドモンブランならではの配慮が詰まった筆記具だと感じます。