セーラー万年筆のプロフィット21長刀研ぎです。
この万年筆は、刀の剣先のように長く研ぎ出したペンポイントをもつことから長刀研ぎと呼ばれており、筆記角度の調節により極細から太字までスムーズな書き味で「トメ」「ハネ」「ハライ」を美しく表現できる事が特徴。
日本語の筆記に適した万年筆という事で以前から気になっていたのですが、最近では人気が高く、また人手による製造のため需要に対して供給が追いついていないようで大型文具店でも見かける事が少なく、どこかでご縁があればお迎えしようと考えていました。
先日伊東屋にお邪魔したところ、長刀研ぎがブースに並んでいるところを目撃し、全てのペン先を書き比べさせていただいた上でお持ち帰りしてきました。
尚、現在は生産が追いつかないためセーラー万年筆側で2017年2月から受注をストップしてしまっているとの事です。私が手に入れられたのは伊東屋が半年以上前にオーダーしたものがやっと入荷して店頭に並べられたタイミングだったようです。
現在販売されている長刀研ぎがはけてしまうと、次はいつ入荷されるかも分からない状況でもあるようです。
一つ一つが職人さんの手作業によって繊細な調整をしながら作られるものですのでこういった状況も納得です。
目次
自然な筆記で強弱をつけられる万年筆
さて、私が長刀研ぎを購入する前に心配していた事が一つありまして、セーラー万年筆のウェブサイトにもある、「筆記角度の調節により極細から太字までスムーズな書き味で「トメ」「ハネ」「ハライ」を美しく表現」という記載。
この記載から「トメ」「ハネ」「ハライ」を表現させるためには、筆記角度を筆記中に調整していかなければならないのかという事を心配していましたが、この心配は私の解釈が間違っていたことからの心配でした。
正直、筆記中に角度を変えていくということは自分には難しいのではと考えていたのですが、、、実際に筆記してみたところ予想を斜め上にいく素晴らしい書き味を自然な筆記の中で表現できる事を確認できました。
心配していた筆記角度に関してとくに意識をしなくとも、トメ・ハネ・ハライが自然に表現できます。
試し書きの際に店員さんに教えてもらったのですが、角度を意識する必要はなく書き手の一番書きやすい角度で筆記するのがベストで、角度を変えるのは付加価値要素として考えれば良いとのこと。
人それぞれペンの持ち方には癖があり書き手によって多少なり筆記角度は異なってきますが、改めて長刀研ぎの素晴らしさを一言で伝えると、長刀ならではのトメ、ハネ、ハライを自然に表現する事ができるという事です。他の万年筆では中々表現できない筆跡で書くことができます。
尚、同じく国産の万年筆で日本語の筆記に適していると言われるパイロット万年筆のフォルカン(FA)とは全く異なる筆記感です。
フォルカンと長刀研ぎの違いについては別途記事にして書きたいと思いますが、フォルカンは繊細な筆圧加減によって文字の強弱をつけていくイメージがあるのに対して、長刀研ぎは力の強弱を意識する必要はありません。
長刀研ぎでの筆跡
私が購入したのは中字ですが、線の太さは一般的なMよりも太いです。
ペリカンM800(M)との比較ですが、M800よりも太くなっている事が伝わるかと思います。
一番下の筆記はペンの角度を立てて細めに書いたもの。
もっと細く書くこともできますが通常の筆記角度と変わるので、正直細字にすればするほど書きづらくなります^^
自然な状態で書くのが一番ですね。
ペン先の写真
長刀研ぎの特徴でもあるペン先です。
この刀の剣先のように、長く研ぎ出したペンポイントから特徴的な筆記表現が実現されます。
まとめ
長刀研ぎを使ってみて感じたのが、私が万年筆を使い始める前に想像の中で万年筆ってこういう書き味だろうとイメージしていたものとドンピシャな書き味であった事です。
当時私の中では万年筆を使えばトメ・ハネ・ハライは自然に表現できるものだと想像していたのですが、実はそこまで表現できるものではなく、「あれ?こんなものなのかな」と感じていた思い出があります。
もちろん、そういった違和感があったとしても万年筆での筆記にハマっていったのも事実なのですが。
長刀研ぎというとどちらかというと玄人好みされそうなイメージがありますが、どんな角度でも安定したインクフローで筆記ができ、文字の強弱もつけやすい事から、これから万年筆を使おうとしている方でもスッと万年筆の世界に入っていけるのではと感じました。
3 件のコメント