日本文具大賞を受賞した10の作品の中で、強い興味を持ちつつもISOT開催日までお目にかかれなかった製品が二つありました。一つはISOT開催日まで情報を出さなかったキッター。もう一つがFactioneryの「CLIP」という製品です。
受賞作品の発表でCLIPという製品の存在を知った後、いくつもの文具屋を回って実物を探したのですが、どこの文房具屋でも見つけることができず。
もちろんFactioneryウェブサイトにてCLIPを購入が出来ることは知っていましたが、文房具屋を探し回っていると実物を見て購入したいと思うのが自分の心情で、結局ISOT開催日までお目にかかれずISOT当日はじめてCLIPと対面することになりました。
今回のISOTにて、CLIPという製品とともにFactioneryが展開する5つのプロダクトについて実際に拝見して説明を頂いて参りましたのでご紹介いたします。
日本の町工場の持つ「技から生まれる美しさ」を大切にしたプロダクトブランド【Factionery】
まず、Factioneryについて簡単に説明しますと、日本の町工場の持つ「技から生まれる美しさ」を大切にしたプロダクトブランドで、Factioneryのコンセプトに賛同した企業がこのブランドに参加しています。現在は4社が参加し5製品が世に出ています。
Factioneryウェブサイトに記載されているコピー。日本のものづくりの裏方に徹して支えてきた職人達がこれからは表舞台に立つという力強い想いが汲み取れます。
▼Factionery公式ウェブサイト
http://www.factionery.jp/
それでは、今回日本文具大賞優秀賞を受賞した「CLIP」を中心にFactiyoneryの製品を紹介いたします。
CLIP – 精密バネ加工の技術が生み出した新しいクリップ
従来型のクリップは書類をまとめた後、めくると折り跡が付いてしまうという課題がありました。個人的には折り跡が付いてしまうことが当たり前で課題とも感じていなかったのですが、この課題に着目して開発されたのがCLIPで、書類を綺麗にめくれるという機能を持ちます。
具体的に見ていきますと、5つのクリップが連結された状態で販売されます。
下記のように外して2こ・3この形態で使用することが出来ます。
※連結させる・外す際はクリップを回します。
使い方としては、下記の写真のようにクリップする用紙を1枚ずつクリップに差込んでいくイメージ。
CLIPが回転することによってページをめくった時に、折れ跡が付くことがありません。
斬新な仕様ですね。
さて、ここで一つ感じるのが複数の用紙を一つのクリップでまとめられないのでは?という疑問で、一つのクリップに複数の用紙を挟むと、1ページだけめくる際はこれまでのクリップと同じ機能となってしまうため折れ跡は付いてしまいます。
基本的には1CLIPに1枚ずつクリップしていくのが基本的な考え方となるのでしょう。
ではどんなシーンで活用できるかを考えてみると、あまり折り目の付けたくない大切な用紙(例えば1枚単位のカタログなど)を束ねる際などに重宝しそうです。
試しにFactioneryのカタログをCLIPでクリップしてみましたところ、良い感じにまとまりました。
私の趣味では万年筆に合う用紙カタログも作ってみました。
※用紙は今回のISOTでkamiteriorさんから頂いたサンプル用紙(万年筆に適した用紙5種類)。別途紹介します
CLIPの販売は5個入り(写真のもの)で650円(税抜き)となります。
CARD STAND
引き続き、精密バネ加工の技術が生み出したコンパクトなーカードスタンド。
デザインは西村拓紀デザイン株式会社が手がけ、五光発條株式会社の製造による製品です。
このカードスタンドの面白いところはカードの角度が変えられること。
低い台では上むきに、高い棚では垂直のカード角度へと、本体のカードスタンドをひねることで見やすい角度に変えられ、様々な場所で使いやすいカードスタンドになっています。
実際にどう使うかを見ていきましょう。
写真のような形でCARD STANDを横向きにするとカードは斜めに向き、CARD STANDを立てるとカードは垂直に立つという使用。
素晴らしい!
本当によく考えられています。
SサイズとLサイズの2種類のサイズが発売されており、Sサイズは5個入り、Lサイズは3個入り、SL混在は各2個入りで各パッケージ1,500円(税別)での販売です。
その他Factioneryのプロダクト
今回紹介したCLIP、CARD STAND以外にも写真のようなプロダクトを展開されており、どれもこだわりのある素晴らしい製品。
簡単に紹介しますと、
写真左:素材の質感・美しさを活かした真鍮削り出しのペンスタンド
このペンスタンドの重さはなんと750g。真鍮製のため小さくても安定し、重いものを入れても倒れにくい設計です。
写真右上:航空部品やレーシングパーツに求められる制度で削り出したアルミのスケール
寸法誤差1/100mm以内を目指し、1/1000mmの高精度で切削しており、切削していることで印字スケールとは異なり目盛りがずっと消えないという価値を持ちます。長く使える高精度なスケールです。
写真右下:精密加工の技術を活かしたアルミ削り出しのカラビナ
高精度の加工技術による極小のスリットによって、カラビナ同士をつなぎ合わせることができます。精度が高いため、意図しない動きによって外れることがありません。
まとめ
現在は4社5つの製品で構成されており、今後の新しい製品企画も複数進んでいるとのこと。
日本には素晴らしい技術力をもちながら世に出ていない企業が多く存在していると聞きます。
CLIPが優秀賞を受賞したことにより、名前は知られてないが素晴らしいアイデアや技術力をもった企業が注目され世に出ることを期待したいなと素直に感じた製品でした。
まずは文具店さん、早う取り扱ってください!
▼Factionery公式ウェブサイト
http://www.factionery.jp/