屋外でボールペンを使用しているユーザーの悩みは、
- 紙が雨で濡れてしまうと、濡れた面にボールペンで筆記できない
- 地面に落としてしまうと軸が割れてしまう
そんな悩みを解消するボールペンとして、WETNIE(ウェットニー)という加圧式油性ボールペンがゼブラから発売されました。
キャッチコピーは、「濡れた紙にも書ける 丈夫なメタルボディ」。
他メーカーの加圧式ボールペンとの比較をしながらレビューしていきます。
目次
加圧式ボールペン WETNIE レビュー
まずウェットニーの仕様ですが、
- ボール径は0.7mm
- 耐水性のある黒の油性インク
- 軸色:ガンメタリック、オレンジ、ブルーの全3種
- 替芯:K-0.7mm
- 価格:600円(税抜き)
となっています。
特徴は、ボールペン内部の空気を加圧することでインクを押し出す機構により、従来のボールペンでは書きにくかった水に濡れた紙への筆記や、壁に設置したボードの紙面にそのまま上向き筆記ができるということ。
それと合わせて米国軍事規格であるミルスペックに対応した強度性能も兼ね備えるとのことです。
ちなみに「ウェットニー」という名称は、濡れた紙にも書けることから「ウェットに良い」という意味を込めた造語。
加圧式ボールペンとは
加圧式ボールペンは、ペン先に対してインクを押し出す圧力をかけてあげることで筆記するボールペンです。
一般的なボールペン(非加圧式)重力で落ちてくるインクで筆記するものとなりますが、それに比べ、加圧式はインクを押し出す力が強いため、ペン先から水や空気の侵入を防ぐことができるとともに、上向きでの筆記・重力のないところでの筆記が可能になります。
加圧式の芯には芯(リフィル)自体に加圧がかかっているタイプと、ノックした際に加圧されるタイプの二種類がありますが、今回のウェットニーはゼブラのオーソドックスな油性ボールペンリフィル(K芯)ということで、ノックした時だけ加圧されるタイプの加圧式ボールペンになります。
また加圧式のインクは、耐水性の高い油性インクを使っていることが多く、濡れた紙や水の中でも筆記が可能です。
写真は国内のメーカーが発売されている加圧ボールペンで、左から、三菱鉛筆のパワータンク、トンボのエアプレス、そしてゼブラのウェットニーとなります。パイロットからもダウンホースという加圧式ボールペンが発売されており1本保有していますが、我が家の中で旅に出てしまっているようで集合写真には間に合いませんでした。(紛失中)
「濡れた紙にも書けるという」という性能をうたえる「加圧式」は革新的なものでもなく、どちらかといえばゼブラは後発組となります。
後発であれば、競合商品よりも優れたスペックを期待したいです。
デザイン・素材
デザインはスマートな形状ですが、ペン先が階段状の「ステップヘッド」になっており、筆記面がみやすい工夫がなされています。こういった形状は製図用のペンで多い形状です。
グリップ部分とノック部分に違う色が使われています。グリップ部分は滑り止めを配慮した形状になっていますが、思いの外滑りやすいです。どちらかというとシルバーの部分の方が吸い付く感じがあって安定してグリップ出来そうな気がしますね。
ボディは頑丈なメタルボディ。どこかにぶつけたり落としてしまっても軸が割れづらい事を目的として強度設計がなされているようで、米国軍事規格に準拠した落下試験をクリアしているようです。
また、首などにぶら下げて使用する事を想定しているのでしょう。クリップの付け根あたりに紐を通す穴が空いています。
ちなみにこういった穴は競合のエアプレスやダウンホースにも空いており、4つの加圧式ボールペンの中で穴が空いてないのは三菱鉛筆のパワータンクだけです。
ボディ素材が金属で作られているのはウェットニーだけとなり、パワータンク・エアプレス・ダウンフォースは樹脂になりますから、強度はウェットニーに軍配が上がります。
ノックで加圧する感覚が手に伝わる
ウェットニーはノックするタイミングでインクに加圧していくタイプですが、実際にノックをする際に「圧力をかけているな〜」というのが感触で伝わってきます。
良い押し心地というのでしょうか。
逆にペン先を引っ込める時も圧力が引く分、強い反動で返ってくるのですが、ペン先を出す時・収納する際の音がそれなりに大きいです。
一般的な低価格ボールペンもガチガチしますが、それ以上に音がしますね。
一人でペンを使っている分には、ノックの弾力のある押し心地と、ガチガチとうるさい音が心地よいのですが、静かな会議室では使いづらいでしょう。
通常の書き味は特段良いとは感じられない
ボールペンの書き味を評価する際に気にするポイントはいくつかありますが、その中で一つ重要なポイントがペン先のグラつきです。いくら良いインクを使っていたとしてもペン先がグラついてしまうものは書きづらくて仕方ありません。
ウェットニーは、ゼロではないがほぼグラ付かない。星で言えば5つ星中で4つ取れるレベルでしっかりと固定されます。ここは評価として高いポイントです。
続いてインク性能ですが、残念ながら良くもなく悪くもなく。
加圧でインクを押し出す力が強くなってしまっていることからか、カスれることは無いものの、多少ダマが出来やすいように感じます。
三菱鉛筆のパワータンクが同じ加圧式ボールペンでも圧倒的に筆記性能が高いので、比較したらパワータンクの方に軍配が上がるでしょう。
水に濡れた紙での書き味検証
続いてウェットニーのウリでもある濡れた紙にも書けるという性能について検証してみました。
比較のために使ったボールペンは、ウェットニー、パワータンク、そして一般ボールペンとしてジェットストリームの3本で比較。
まずウェットニー。
書きやすくは無いですが、一応筆記はできるという感じでした。
続いてパワータンク、ジェットストリームで筆記してみましたが、パワータンクは流石ですね。
しっかりと濃い筆記線で問題なく筆記し続けることが出来ました。
ジェットストリームはインクが紙にくっつかず、また反応を起こして色が紫色に変色をしてしまっています。
濡れた紙に対しての筆記性能は、一番良いと感じたのがパワータンク、次にウェットニー、そしてジェットストリームの順番です。
まとめ
改めてそれぞれの比較を表にしてみます。
ウェットニー | パワータンク | エアプレス | ジェットストリーム (100円タイプ) |
|
デザイン性 | シンプル | 実用的 | 特殊 | オーソドックス |
素材 | 金属 | 樹脂 | 樹脂 | 樹脂 |
ひも通し | あり | なし | あり | なし |
耐久性(タフさ) | ◎ | – | – | – |
グリップしやすさ | △ | ◎ | ○ | ○ |
ペン先のグラ付き | ○ | ○ | △ | ○ |
インクのカスレ | ◎ | ◎ | △ | ◎ |
ダマの出来にくさ | △ | ◎ | △ | ◎ |
なめらかさ | △ | ○ | △ | ◎ |
濡れた紙 筆記性 | ○ | ◎ | △ | × |
値段(定価) | 600円 | 200円 | 600円 | 100円 |
改めてまとめますと、デザインやタフさが気に入ればウェットニーを選ぶのも良いけど、筆記性能ではパワータンクの方がグリップしやすいし書きやすい、そして安いという結果になりました。
ちなみに耐久性については、自分で地面に叩きつけたりなどはしておりません。あくまでもゼブラ社のウリであること、金属軸であることから◎をつけています。
私のような使い方では、一般的な樹脂のボールペンでも、軸が割れてしまう経験をしたことがありませんので良くわかりませんが、現場で作業される方はゼブラが言うように定期的に割ってしまうのかな?
また、タフな性能が求められるシーンでは0.7mmという字幅よりも、1.0mmなど太字の方が活躍するのでは?とも感じました。
普通に加圧式ボールペンを購入するのであれば1/3の値段のパワータンクで十分だと感じます。というかパワータンクの方が良いです。
上向き・濡れた紙・さらには氷点下もOK!どこでも書ける加圧式ボールペン〜パワータンク〜
上記にてパワータンクのレビューもしていますので、合わせてご覧ください。
タフで壊れづらいペンが欲しい方、首からペンをぶら下げたい方、デザイン的に気に入ったのであれば選択肢に入れて良いと思いますが、グリップ感が悪くインク性能もさほど良いとは感じられませんでした。
以上、ウェットニーのレビューとさせていただきます。