ここ2日間続けて三菱鉛筆ユニボールREの話題をアップしましたが、消せるボールペン話題の流れで本日は消せるボールペンの大御所 PILOT FRIXION(パイロット フリクション)について。
先日お邪魔させていただいたロフトネットストア主催の「春の新作文具」商品展示会!にて、パイロット様からお土産でいただいたこちらの本を読ませていただいたので本のレビューも合わせて記載します。
「消せるボールペン」30年の開発物語
フリクションシリーズは、2006年の発売以来、世界100ヵ国以上で10億本を売り上げて今もなお売れ続けているパイロットの主力となる筆記具。
現在、フリクションシリーズはどこの文房具屋でも一番目につくところにブースを確保し、爆発的な大人気商品となっていますが、筆記具として商品化されるまでには長い年月がかかりました。
秋になると葉っぱの色が変わること・・・、この原理をインクに出来ないかという発想から開発がスタートして、色が変わるインクの開発に成功したのが1972年。
おもちゃやコップなど色の変わる原理を活用した商品は次々に誕生しましたが、ペンのインクとして使えるようになるには30年の年月がかかっています。
筆記具として開発されるものの発売前は売れるかどうかの不安要素も高く、2006年1月にヨーロッパでまず発売されて、日本では2007年3月に発売。
ヨーロッパでは売れたものの日本国内では売れないのではという不安は実際に発売されるまで付きまとっていたようですが、蓋を開けてみれば大ヒット。
その後、様々なフリクション商品が追加されフリクション・シリーズとなり現在に至ります。
フリクションがどのように誕生したのか、開発担当者やマーケティング担当者の開発当時・フリクション発売当時の思いなどが書かれており文房具ファンには是非読んでいただきたい本となっています。
また、文房具ファンだけでなく、開発者やマーケティングを担当している方など、ビジネス本としても良書です。
私自身、これまでフリクションの発色の好みからあまり主力で使う事はありませんでしたが、この本を読んで違う視線でフリクション・パイロットのファンになりましたし、モノづくりはこうあるべきというという共感を持つ事ができました。
自由な開発環境の中にも常にお金を意識するパイロットの姿勢に脱帽
本の中で所々に書かれているのですが、パイロットの開発者の文化として自分たちの食いっぷちは自分たちで稼ぐというものがあるようです。
これは私の中で間違えてとらえていたことですが、インクを開発する研究者は常にインクの研究をしていて、それをお金に変えるのはマーケティングやセールスなどの別部門が行うものだと考えていました。
もちろんマーケティングやセールス部門が販売することに間違いありませんが、開発側も自分たちの技術を現金化させることに高い意識を持っている事は素晴らしいことです。
そういった開発者の意識の中から筆記具に捉われず新しい商品が次々と開発されていくのですね。
ちなみにフリクションを開発したパイロットインキのウェブサイトですが、
http://www.pilot-toy.com/
http://www.pilot-toy.com/metamo/
どこにもフリクションの事が書かれていない。笑
でも、見たことのある商品もたくさんありますね。
メルちゃんとか色の変わるコップとか。
実は、上記リンク先にあるメタモカラーこそがフリクションの前身ですが、このメタモカラーからフリクションを思いつき製品化するまでにもかなりの時間がかかっています。
そもそもこの色の変わるメタモカラーを文具に適応するという発想がなかったようですね。
変色の無いインクが正というのが根本的な考えですから、色の変わるメタモカラーをインクに適用するという発想が無いのは当然の事かもしれません。
フリクションとユニボールREの戦いは本当に楽しみ
私、この「消せるボールペン」30年の開発物語を読んだ後に、今回発売された三菱鉛筆のユニボールREを手にしました。
フリクションは開発工程における背景や苦しさ、また販売戦略上での問題など様々な課題を解決して登場し成功したものです。
その戦いに1度敗れた三菱鉛筆の再挑戦がどんなに苦しく大変なものなのかが、私では想像もつかないような大変な事だったかと感じます。
私のような単なる利用者の目線で考えたら、「使い勝手が良い・書きやすい・消しやすい・デザインが良い・こっちの方が良さそう。」など、メーカーの考えを意識することは一切なく単純な理由で筆記具を購入するわけで、今後もそれは変わらない(変える必要はない)のですが、今回、この本を読んだ後でユニボールREを購入できたおかげで、開発や市場に出回る背景などを考えながらフリクションとユニボールREの書き比べることができました。
今後、パイロットフリクションと三菱鉛筆ユニボールREが競い合って、消せるボールペン市場をより盛り上げて行ってくれたら嬉しいですね。